人気ブログランキング | 話題のタグを見る

a-ls 時計(Mechanical Watch Users News) blog.

alszanmai.exblog.jp

とても文明国のやることとは思えない

すみません、本日は時計の話題ではありません。

3月の震災後、わたしは、文部科学省が定めた児童・学童の年間被ばく許容量の数値に大きな疑問を感じ、その危険性の周知活動や、原発事故による放射能の被害を特に受ける可能性のある地域に住む児童・学童を、安全な場所に避難させる活動を応援してきました。

当初は、放射能の危険性を訴えれば、子供を持つ家庭は自ずと避難を始めるのではと漠然と考えていたのですが、問題はそれほど単純ではありませんでした。地縁、血縁、共同体、仕事、土地などなど…、当然のことながら、それぞれの家庭にはそれぞれの事情があり、避難できる方も、危険を承知で住み続けなければならない方もおり、将来的な目途についてまったく触れない政府・省庁・東電のあやふやな態度もあいまって、その行動を決めるに決められない方々もたくさんおられます。
何の落ち度もないにもかかわらず、家族の生活はもちろん、その土地に根差して生活してきた“家”としての歴史も思い出も、その一族としての根本を奪われ、いまだ避難生活を強いられている方々をはじめ、多くの人々が未来的な補償どころか汚染や被ばくの正確な数値すら知らされないまま、目にも見えず無味無臭の危険物質にさらされ続けているのです。

このブログの情報の大半を占めるランゲ&ゾーネの時計は、ドイツからのプロダクトです。
チェルノブイリ事故で拡散した物質による被害を受けたこともあり、ドイツは放射能に対して大変にナーバスな国でもあります。震災当初、放射線物質の拡散予想図を真っ先に作成しネット公開したのもドイツでした。

このセンセーショナルな表題、[とても文明国のやることとは思えない]は、
そのドイツの放送局ZDFが、ドイツ国内で放送した「Frontal21」という番組でのものですが、そこでは、当事者であるわたしたちも知らない事実が淡々と暴かれていきます。
とりあえず、ご覧いただきたい。


日本政府は、流通している食品はすべて安全であると言い続けていますが、牛肉の一件だけみてもそれが根拠のない事実だったことが判明しました。確かに、検査の結果、基準値以上に被曝していた食物は流通しません。しかし、検査されている食品自体が少ないのです。検査に法的な強制力はなく、それどころか、個人が持ち込んでも繁忙を理由に検査を断られます。この報道にあったように、行政や自治体から「検査の必要はない」「今はできない」と言われた食品が、“安全な食品”として流通している可能性は非常に高いと言えるでしょう。

一時騒がれた、お茶も、海産物も、なんとなくなし崩しになって流通しています。
震災からの復興のためには、東北の産物の流通が絶対に不可欠です。しかし完全な流通の復活には、信頼できる機関による信頼できる基準での検査が、東北の全産物について厳正に行われることが必要なのです。
いまは“風評被害”として情緒に訴えて流通を促進している面もあるのですが、このままあやふやな状態を放置して、万一、消費者に内部被ばくを起こすような食品が流通していた事例が出れば、そのたびに東北全体の産物が大きなダメージを受け、完全な復興がどんどん遅れていくのです。

福島では現在、一般のお母さんでも、多くの方が放射能の知識を持ち、たとえ避難したくても避難できない環境の中にあっても、空間線量や食物の汚染に気をつけながら暮らしています。
そのレベルと比べるならば、大多数の日本国民は、放射能汚染に対してはほとんど無警戒に近い状態で暮らしています。
しかもその危険性について、当事者であるわれわれ日本人よりも、遠く海の向こうに暮らすドイツ人の方が、詳しく知っているのです…。

文明国として取りうるべき、「最善にして早急な対応」を心から願い、これを書きました。
# by A-LS | 2011-09-13 04:59 | 震災