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ヴァシュロン・コンスタンタン展示会~天空のプレゼンテーション

先日、ヴァシュロン・コンスタンタンのプレゼンティーションが、パークハイヤット51Fのプレジデンシャル・スイートを数日間貸切る形で、VC愛好家に向けて開催された。

51階に案内され、その部屋の豪華さ&スケール感、そして眺望に感心する。





お部屋自体が290㎡ほどあるので、デスクやソファーがそこかしこに置かれているものの、どれもゆったりとした空間となっている。
いくらか書いてもキリがないので、これ以上はオフィシャルページの参照URLを。
https://suiteroom.parkhyatttokyo.com/presidential_suite/index.html


さてヴァシュロン・コンスタンタンの時計であるが、この広い空間の中にくらべて、展示個所は非常に少ない。
このあたりの奥ゆかしさというか、260年以上の歴史を持つメゾンの余裕というかが、実にヴァシュロン・コンスタンタンらしい。
そして一言、気になっているモデル名を口にすると、数分後にはその実機がトレイに載って運ばれてくるという感じで、SIHH新作をはじめ、コンプリケーションや限定モデルなど、この日のために集めた特別なコレクションが、スタンバイしているのである。

驚いたのは、このメティエダールの気球シリーズ。
https://watch-media-online.com/blogs/1216/



エナメル(しかもプリカジュール)、彫金、エングレーヴなど、メティエダール・セクションの技術の粋を極めた至宝ピースで
5種それぞれ5本限定だったが、ここで見ることができた3本は、この世に残る現在入手可能なすべてを集めたものであると聞いた。

夜のとばりが忍び寄り、さらに落ち着いたムードとなった室内。


なにせほとんどのモデルが集めれらているので、各所でなごやかなうちに、通常はなかなかできない比較検討や、腕に乗せての装着感の吟味などが行われていた。



個人的に気になったのはこれ。

画像などでみていた際には、色味的にはナシのイメージだったが、いざ実機を腕に乗せると、日本人の肌色には実にクールに映える印象であった!


コチラもよかった!






そしてこちらもヴァシュロン・コンスタンタンらしいのは、展示会と同等以上にディナーを楽しんでほしいというホスピタリティである。時計を一時間ほど見たのち、もっと見ていたかったりもするのだけれど(笑)、ディナー会場(当然ながら「ニューヨークグリル」)へご案内となる。

いうまでもないが、パークハイヤット東京とそのメインダイニングである「ニューヨークグリル」は、ソフィア・コッポラ監督がアカデミー脚本賞を受賞した映画、「ロスト・イン・トランスレーション」の舞台となったことで海外での認知度がとても高く、外国人観光客が憧れる東京のホテルの筆頭格なので、予約の取れなかった多数の外国人ゲストが通路や眺望で記念撮影
をする賑わいの中、本日のゲスト約30人ほどの予約席で、歓談しつつのディナーがスタート。



挨拶するヴァシュロン・コンスタンタンのグジェCEO。
時計業界で最もグルマンかつファッショナブルなCEOのひとりである。



グジェCEOをはじめヴァシュロン・コンスタンタンのスタッフならびにアワーグラス銀座スタッフのみなさま、そしてこの日、13日の金曜日にわたしを守護してくれたマルタクロスのヴィンテージ。タイムピースに感謝しつつ。


世界最古のメゾンによる卓越した時計製造技術およびホスピタリティーを堪能できた一夜だった。


ありがとうございました。


【お問い合わせ】
Vacheron Constantin
0120-63-1755(フリーダイヤル)

アワーグラス銀座店
〒104-0061 東京都中央区銀座5-4-6 ロイヤルクリスタル銀座1F
TEL: 03-5537-7888
http://www.thehourglass.co.jp/




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by A-LS | 2018-07-18 19:31 | ヴァシュロンコンスタンタン | Trackback | Comments(0)

A.ランゲ&ゾーネの新作、1815トゥールビヨンのホワイト・エナメル実機を他のエナメル・モデルと比較検証する!

先日、エンバーゴ(情報解禁日時)と同時に情報をUPした1815トゥールビヨンの新ヴァージョン 限定ホワイトエナメルだが、
直後から問い合わせが相次ぎ、早くも品薄状態とのことらしい。

幸運なことに、早くも実物を拝見する機会を得たので、早速出かけてきた。






限定番号も振られていたので、限りなく実機。
今回の肝であるエナメルには一点の曇りもなく、純白無垢。
もう少し手作業ぽ差があってもよいくらいだ。



そして、ここでひとつ訂正がある。

前回記事で、個人的な推察として、
「(この作品の発売意図は)数年前に設置された自社エナメル工房の量産に、ようやく目途がついたことを実証するためのトライアルではないか」と書いたが、この推測をブランドにぶつけたところ、

この作品のエナメル文字盤は、リヒャルト ランゲ プール・ル・メリット(鎖引きの作品)のエナメルを焼いたのと同じドイツ人エナメラーである。
A.ランゲ&ゾーネの自社エナメル工房の人員は、現在まだわずか2名で、しかもエングレーバーも兼ねているため、とても量産の体制にはないということでした。


お詫びの印というわけではないが、そのリヒャルト ランゲ プール・ル・メリットとの比較画像を!

●これが同一人の作品。

ランゲのエナメルと言えば、復興10周年記念のランゲマティック・エマイル(500本限定)が名高いが、乗り掛かった舟ということで、そのエマイル比較画像も!!


ケース径の差は約2㎜だが、ローマとアラビアというインデックスの違いで、その凝縮感はかなり異なって感じられる。
また、エマイルにはまだ手仕事の風合いが漂っている(笑)。
どのブランドの作品にも言えるが、最近のエナメル技術の進歩はほんとうに目覚ましく、昔は目を皿のようにしてチェックしていたクラック(ひび)や曇りなどを見つけることのほうが難しくなってきた。
そうなると人間とは贅沢なもので、"多少の色むらのあったほうが手仕事の息づかいが感じられていい"、などという声も聞こえたりする。

で、これは比較になるかどうかはわからないが、20世紀初頭のランゲ懐中のエナメル文字盤も混ぜてみた。




ここまでくると、もう全部やりたくなるのがマニアの常(笑)。
ということで、もはや比べる意味は微妙この上ないが、エナメルということでコレも!!


ランゲ1トゥールビヨンの黒エナメルとの比較だ!

こんな全比較、普通のジャーナリズムでは決してやらないだろうが、ユーザー・サイドに立つメディアを自負するWMOは、マニア目線を最優先、しかもありがたいことに、企画意図を話したところ、何人かのコレクター氏が貴重な限定時計を貸して下さった。


●開口部を覗く、ベースとなる金属片は銅のようだ。


●トゥールビヨン ブリッジとの接合部。


●バックショット


それから、前回記事で、「※参考価格 :198,000ユーロ」と掲載したところ、その金額にユーロ・レートを掛け算して、約2600万円という数字が一部でみられたが、このユーロ価格はVAT(消費税のようなもの)の15%を含んでいるので、それを除き、日本の消費税8%を加えると、かなり安くなる。

A.ランゲ&ゾーネ ジャパンが告知している日本円予価は以下の通り。

税込 23,252,400円(税別 21,530,000円)


動画も撮っているので、後ほど追加したいけれど、今はこれた情報を急ぎUPする。

結論から言うと、数が数だけに、気になっている方は早く動いたほうが良いみたい!
ご健闘を!!!


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by A-LS | 2018-07-16 00:55 | ランゲ&ゾーネ | Trackback | Comments(0)

A.ランゲ&ゾーネ、エナメルダイヤル仕様の1815トゥールビヨンを発表!

先日、銀座ブティックでみたツァイトヴェルク・トゥールビヨンの記事を書いた際、「近々に、A.ランゲ&ゾーネからなんらかの発表があるかもしれません!」と予告したが、その正体がコチラである!


エナメルダイヤル仕様の1815トゥールビヨン リミテッドエディション!




まずは以下、A.ランゲ&ゾーネからのプレスリリースを。


ストップセコンドおよびゼロリセットを搭載した

A.ランゲ&ゾーネ初のトゥールビヨンモデルに
特別エディションが登場。


2014年にA.ランゲ&ゾーネが発表した1815トゥールビヨンは、トゥールビヨンにストップセコンド機構と秒針位置合わせのためのゼロリセット機構を初めて同時搭載した時計です。特許技術であるこれらの機構により、時計を停止して秒単位の正確さで時刻合わせができます。この度、このモデルに100本限定製作のエナメルダイヤル仕様の特別エディションが登場します。


1815トゥールビヨンのこの100本限定の特別モデルは、伝統の工芸技術と最先端技術を駆使した複雑機構を融合した、究極の精密時計です。一見したところ、白色のエナメルダイヤルを備えた明晰なデザインのこの時計は、控えめで飾り気のない印象を与えます。しかし、6時位置の大きな開口部をのぞくと、この時計が複雑な作りになっていることが分かります。



この開口部からは、ブラックポリッシュで仕上げた受けの下に取付けられたワンミニッツトゥールビヨンの動きを見ることができます。このトゥールビヨンは、重力の影響を相殺するだけではありません。A.ランゲ&ゾーネの設計技師たちは、この繊細な複雑機構と特許を取得した二つのメカニズムを連動させる技術を開発しました。1997年に発表されたランゲマティックに初搭載されたゼロリセット機構を、2008年に特許を取得したストップセコンド搭載トゥールビヨンと組み合わせることにより、秒単位での時計の停止と時刻合わせを可能にしたのです。


●ゼロリセットの略図(秒針につけらえたハート状のカムをハンマーが叩くことで秒針が帰零する)と、トゥールビヨンを止めるパーツ、"ハックレバー”


サファイアクリスタルのシースルーバックからは、自社製キャリバーL102.1の丹念に手作業で施された仕上げ装飾だけでなく、その精巧な動きもよく見えます。ムーブメントの精緻な装飾を締めくくるのは、ハンドエングレービング入り秒針車受けにビス留め式ゴールドシャトンで取付けられたダイヤモンド受け石です。



完璧に仕上げられたエナメルダイヤルにぴったりのフレームであるプラチナ製ケースは直径39.5ミリで、限定製作のシリアル番号001/100~100/100が刻まれています。このモデル1本を仕上げるのに要する手作業の工程は、約30におよびます。別途プリントして焼成した赤い「12」の数字には、A.ランゲ&ゾーネの真の時計を作ることへのこだわりが反映されています。

青焼きしたスチール製針、アラビア数字、線路をイメージしたレイルウェイモチーフの分目盛りをあしらったダイヤルデザインは、19~20世紀に名声を誇ったA.ランゲ&ゾーネの懐中時計を彷彿とさせます。

この1815トゥールビヨンは、ブラックの手縫いのアリゲーターベルトにプラチナ製フォールディングバックルを組み合わせ、落ち着きを感じさせる装いで登場します。




1815トゥールビヨン (Ref. 730.079F)

ムーブメント
ランゲ自社製キャリバーL102.1、手巻き、ランゲ最高品質基準準拠、手作業による組立ておよび装飾、五姿勢調整済み、素材の特性を生かした洋銀製の地板および受け、ハンドエングレービング入り秒針車受け


ムーブメント部品数 :262
石数 :20石、うち1石はダイヤモンド受け石
ビス留め式ゴールドシャトン :3石
脱進機 ;アンクル脱進機
調速機 :耐震機構付きチラネジテンプ、自社製ヒゲゼンマイ、毎時21,600振動
パワーリザーブ :完全巻上げ状態で72時間
機能 :時、分およびストップセコンド機能搭載スモールセコンドによる時刻表示/特許技術ストップセコンドおよびゼロリセット機構付きワンミニッツトゥールビヨン

操作系 :ゼンマイ巻上げ、時刻合わせおよびゼロリセット機構操作用リューズ
ケース寸法 :直径:39.5 mm、高さ:11.3 mm
ムーブメント寸法 :直径:32.6 mm、高さ:6.6 mm

風防ガラスおよびシースルーバック:サファイアクリスタル(モース硬度9)
ケース :プラチナ
ダイヤル :ホワイトエナメル仕上げのブロンズ
針 :ブルースチール
ベルト :手縫いアリゲーターベルト、ブラック
バックル :プラチナ製フォールディングバックル
限定数 :100本
(※参考価格 :198,000ユーロ)


以上がリリースからの引用である。
多くの方が感じるのは、なぜこの時期にこの作品が出されたのかという点ではないだろうか。これは非常に興味深いところであるが、個人的な推察としては、数年前に設置された自社エナメル工房の量産に、ようやく目途がついたことを実証するためのトライアルではないかとみている。



また今回A.ランゲ&ゾーネからは製品開発ディレクター、アントニー・デ・ハス氏のインタヴューも配信されており、それによってこの作品に関するいくつかの注目点が語られているので、そちらも見てみよう。


ーーこの作品について。

アントニー・デ・ハス(以下A):ある意味、「1815トゥールビヨン」はA.ランゲ&ゾーネの神髄を一番体現する時計かもしれません。ブランドの伝統性と時代の先駆者的発明の両方がバランスよく共存しているからです。大きく設計されたトゥールビヨンに、ゼロリセット機構とストップセコンドという2つの特許技術が搭載されています。これらの機構は派手ではないですが複雑で難易度が高く、我々の実直で高品質な時計作りの姿勢を象徴しています。時計の表からは見えない「縁の下の力持ち」として、精度、機能とパフォーマンスを向上させる隠れた英雄たちです。
時計のクラシックさを際立たせるエナメル素材のダイヤルは、かつてのランゲの懐中時計にもみられたアラビア数字のインデックス、レイルウェイ風の分目盛やブルースチール針といった要素が盛り込まれています。我々の根底にあったのは、古典的な時計作りを現代に継承する橋渡し役としての使命感でした。


―― 特許取得のストップセコンド搭載トゥールビヨンの特徴、そしてゼロリセット機構との連結について:

A: ストップセコンド機能が付いた腕時計はよくあります。でも、トゥールビヨンに搭載されることは長年ありませんでした。理由は、常に回転するトゥールビヨンケージ内のテンプを止めることは技術的に不可能と されていたからです。しかしA.ランゲ&ゾーネは不可能を可能にしました。リューズを引くと“ハックレバー”と呼ばれるV字型のバネを携えたレバーが作動します。Vを構成する2つのアームの一方がケージの3つの支柱のひとつに接触、もう1つのアームがテンプに接触し、トゥールビヨンの回転を停止させます。さらに、「1815トゥールビヨン」ではストップセコンド機構のハックレバーがゼロリセット機構と連結して、 トゥールビヨンケージの停止とあわせて秒針がクロノグラフのように瞬時にゼロ位置に戻ります。これによって、秒単位での時刻合わせが容易になります。


●1815トゥールビヨンについて語るアントニー・デ・ハス開発部長(2014年のオリジナル発表当時の映像より)


ーー12時のインデックスを赤色にした意図について

A:昔の懐中時計の文字盤でもよく見られたデザイン手法で、赤は差し色として効果を発揮します。昔からの正統的な時計作りへのこだわりはA.ランゲ&ゾーネの特徴ですが、その分手間がかかります。赤いインデックスを焼きつけるために別工程が必要になるのです。

ーーエナメルダイヤルの製作で最も困難だった点。

A:エナメルは気まぐれで時間がかかります。製作に数日を要し、さまざまな工程を何度も何度も繰り返さなくてはなりません。ダイヤルの表面を完璧に仕上げるためにクリーンな環境も必要で、極小のちりやほこりも許されないのです。


いかがだろうか。
ここでエナメルに関して少し補足しておく。昔の懐中時計で12時の色を換える(多くが赤だが、まれに青などもある)のは、エナメルの焼成技術の高さを表現するために始まったという歴史があり、この点からも今回の作品がエナメル技術にスポットが当てられていると想像できるのである。

そしてエナメル文字盤を優先しているもう一つの証拠が、この作品のケース厚である。
通常の金属文字盤に対し、同じく金属をベースにしつつも、その表裏に油で溶いたガラス質を何層か塗布してその都度に焼成するエナメルは、通常の金属文字盤よりもコンマ数ミリ程度多くの厚みを必要とする。
「この時計、文字盤をエナメルできないかなぁ~」などというマニアの不埒な欲望は、このコンマ数ミリの壁に阻まれ、断られることが多い(笑)。
今回のエナメルの1815トゥールビヨンもその例外ではなく、2014年のオリジナル発表時には11.1㎜厚だったケース厚が、このエナメル・ヴァージョンでは11.3㎜厚となっている。腕時計にとって0.2㎜のプラスは重大である。通常のケースに収めると針のカシメ部分が風防に接触してしまうなどの不都合が生じるからだ。そのため、この作品は風防もしくはケース自体に設計変更を行っている、つまりさらなるコストをかけても完成させたという、この作品の持つ伏線が、ここにもうかがえるのである。

1815トゥールビヨンとえばデザイン面でも賛否あった作品だが、ホワイト・エナメルというある意味清廉な素材を得て、ダイヤルの凝縮感、静謐さなどがどのように時計の表情を構築しているのか、すなわちそれこそがA.ランゲ&ゾーネのエナメルセクションの実力と直結するのであるが、それらはやはり、実機を見てから判断したいと思う!


ちなみにこれはブティック限定ではなく、正規店であれば問合せ可能とのこと。
いずれにしても、世界100本限定となれば、いつまでも残ってはいまい。
実機レポート前に"完売”してしまったら、ごめんなさい、である(笑)。





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by A-LS | 2018-07-12 23:14 | ランゲ&ゾーネ | Trackback | Comments(0)

A.ランゲ&ゾーネ、銀座ブティックにてツァイトヴェルク・ミニッツリピーターを見る!

久々にツァイトヴェルク・ミニッツリピーターの実機を見る。





A.ランゲ&ゾーネ最初にして唯一ミニッツ・リピーター。

2015年の発表時、たいへんに興奮して分析していたことを懐かしく思い出し、ちょっと昔のブログを引用。

『復興から20年もの間ランゲがただの一度もリピーターにトライしなかったということは、普通に考えてもあり得ないことでしょう。
風聞では、過去にいくつかのリピーター・プロダクトが陽の目を浴びることなく葬られた(そのうちのひとつは発表寸前の段階にあった!)らしいこと、そしてその理由は、主にそれらが「ランゲらしいリピーターではない」という判断からだったなどと言われています。
では、ここで言う“ランゲらしさ”とは何でしょう。

いわゆるミニッツ・リピーターは、1783年のブレゲの発明以来、その原理という点ではさほど進化はしていません。
発表の瞬間からインパクトを放ったランゲ1やダトグラフのように、確かな革新性を伴った高性能時計を世に問うという姿勢でその歴史を歩み始めたランゲ&ゾーネが、250年近くも前の使い古された原理に基づくリピーターを、ただ単に出すだけであるならば、それは「ランゲらしくない」という判断があったのだと思われます。

そこでまずランゲが選択したのは、歴史的なリピーターを進化させること、すなわちリピーターという機械が抱え続けてきた”弱点”を改善するという発想だったと想像するのです。つまりそうしたアプローチによって製作された時計であれば、そのリピーターはおのずと革新的で「ランゲらしいリピーター」となるに違いないからです。

それがまず、以下に挙げる3点の克服と革新だったのではないでしょうか。

すなわち・・・

①「防水性の確保」。
スライダーで巻き上げる形が多いリピーター動力は、スライダーという構造上、ケースサイドに空間が生じ、生活防水すら困難ですが、まずそれを10時位置のプッシャー式にして(思えばこれは「グランドコンプリケーション」でも実験ズミでしたが)、4M防水を実現しました。


②「デシマル・リピーター」。
360度の円形文字盤を4分割した15分単位でゴングを組み合わせて10分の位を告げる、今となってはややわかりにくいという弱点でもあった伝統的なリピーターの時打ちに対し、デジタル表示されている時間を、時・10分の位・1分の位の順にゴングを打つデシマル方式を採用したことで、誰もが簡単に、感覚的に時間がわかるリピータとなっています。

開発部トップのトニー・デ・ハースは言います。
「文字盤も針もないツァイトヴェルクのリピーターを考えた時、デシマルはごく自然な発想だった」。

工房主任ティノ・ボーベも
「どこにもないリピーターという観点からデシマル・リピーターに着目し、結果としてそれを搭載するのはツァイトヴェルクが最適だった」

と、ランゲの“開発2トップ”は出発と着地を入れ換えて語ってくれましたが、昔からランゲには“偶然から生まれた美しい必然”を理想的なストーリーとする傾向がありますので、ここは両人の両説を「はいはい」と受け入れておきましょう(笑)。

③「リピーター起動時にリューズ操作が規制される」。
想像してみてください。リピーターが鳴っている最中に、リューズを引き上げて時分針を動かしたり、起動用プッシャーをもう一度押すとどうなるかを(笑)。作動したリピーターはギアの位置から”時分”を読み取ってハンマーを打ちますが、その最中に基盤となっていた”時分”を動かしてしまうわけですから、普通であれば重篤な故障が引き起こされ、かなりの確率で時計は本国送りです(笑)。
このような恐ろしいプレイによって、”どういうことが起こるか”を現行のリピーターで試した方はほぼいないとは思いますが、実はこういう箇所も、古来からリピーターの弱点ではありました。
しかしこのランゲのリピーターは、それが作動すると同時にリューズと主動力の輪列を強制的に切り離すことで、この問題を解決しているのです。

当然ですが、リューズが引かれた状態では逆にリピーターのプッシャーがロックされ、操作不能となります。

もちろん、上に挙げた①~③を個々に見れば、ランゲ以前にもいくつかの先例はあります。しがし、2世紀にもわたって引き継がれたリピーターの大きな弱点を一気に3つとも改善した時計は過去にも例がありません。その点からも、「ランゲらしいアプローチを持つ、比類のないリピーター」という、かなりハードなアウトラインからスタートした時計の着地点が、このツァイトヴェルク・ミニッツ・リピーターだったと思えるのです。

実はこの時計の開発段階で、ランゲは6つもの特許を取得しています。
そのうちの3つが上記の②~③に関連するもので、すなわち、「リピーター作動中に輪列を切り離す仕組み」と「その際に作動するギアとラチェット(空回りする)・ホイール」で計ふたつ(註:ドイツ語と英語のやりとりだったため具体的な詳細は異なる可能性もあるかもしれません)。さらに「デシマル・リピーターに関連するもの」でひとつです。
そして、残る3つの特許を吟味していくと、このリピーターの特性は、より一層際立ってくるのです。』

と、まだまだ延々と続きますので、興味のある方は、こちらを参照してほしい。

(前編): https://alszanmai.exblog.jp/24181390/

(中編): https://alszanmai.exblog.jp/24200954/

(サウンド編) https://alszanmai.exblog.jp/24207238/



抽象絵画のような背面は依然美しい。。。。

現在、銀座のランゲブティックに入荷中ですので、実物を目の当たりにされたい方は是非お出かけくだされ!

こちらもブティック入荷中のリトルランゲ1ブティック・リミテッドとのツーショットを。







そして、2018年度版のカタログ、コレクション2018も出来上がってました!!


では最後に12時59分のサウンドを!



追伸:近々に、A.ランゲ&ゾーネからなんらかの発表があるかもしれません!
気になる方は、この1週間くらいWATCH MEDIA ONLINEをこまめにチェックしてください!!



A.ランゲ&ゾーネ銀座
住所:東京都中央区銀座6-7-15 
第二岩月ビル1F
03-3573-7788
定休日:毎週水曜日






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by A-LS | 2018-07-06 23:27 | ランゲ&ゾーネ | Trackback | Comments(0)