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リシャールミルジャパンがチャリティ基金を設立、アスリートのRMファミリーも集結した発表会見にみるブランド好調の理由



2011年の東日本大震災を受けて始まったリシャールミルジャパンのチャリティ活動。
その後の熊本地震や、恵まれない子供たちを支援するラファ・ナダル・ファウンデーションへの寄付など、いまやその活動対象は世界的に広がっている。
当ニュースサイトでもすでに何回か報道しているが、その寄付総額はこの7年間で約1億8000万円以上にのぼっている。
(参考: https://watch-media-online.com/blogs/890/  https://watch-media-online.com/blogs/1079/

この度リシャールミルジャパンは、チャリティー活動の拡大と継続のため、正式に「リシャールミルジャパン基金」を設立し、先日プレス発表を行った。


●プレスカンファレンスでスピーチするリシャールミルジャパン川﨑社長

設立趣旨は以下の通り。
『シャールミルジャパン株式会社は、2011年に発生した東日本大震災復興支援チャリティの開始以来、今日まで国内外複数の団体へ寄付活動を行ってまいりました。
これら一連の活動は、助けを必要とする方々への支援を積極的に行う使命がラグジュアリーブランドにはあると考えているからです。
この考えは、私たちだけではなく、リシャール・ミルブランドの創始者でもあるリシャール・ミル氏の考えでもあります。
この考えは、ブランドポリシーとして、お客様のみならず、ブランドアンバサダーとして契約しているスポーツ選手や俳優、リシャール・ミルのブランドに関わる全世界のスタッフを含め、携わるすべての人々を「ファミリー」と呼び、本当の家族同然に常に気に掛け合い、助け合うことを非常に大切にしていることに由来しています。

2011年に日本に大きな悲しみをもたらした東日本大震災。
特に深刻な被害を受けた東北地方は、復興が進んだとはいえ、約7万人の方々が避難生活を余儀なくされ、そこで生活する未来を担う多くの子供たちの心身への影響が懸念されているといわれています。
また、 2016年に発生した熊本地震では、熊本のシンボルのひとつである熊本城が甚大な被害を受けました。その修復には約20年もの歳月と莫大な費用が必要と試算されています。
これらのこうした大災害の記憶を風化させないためにも継続した支援と発信が、私たちの使命と考えます。
リシャール・ミルブランドは、多くのスポーツ選手とファミリー(アンバサダー)契約を交わしています。彼らはそれぞれの分野で非常に輝かしい功績を残しているだけではなく、母国振興や自身に関連するチャリティ活動を主宰し着実な成果を挙げています。そこで、私たちも世界中の方々への更なる支援活動の拡大と継続を目的とした、「リシャールミルジャパン基金」を設立いたします。2018年以降もより積極的な活動を予定しています。皆様のお力添えを賜りますことを心よりお願い申し上げます。』


そしてこの場で、毎年恒例の特別なチャリティー・ウォッチのオークション、「Dear family」の2018年の提供モデルは、
「RM 11‐03 オートマティック フライバック クロノグラフ マクラーレン」のプロトタイプに、アロンソとバンドーンのサインをプリントした特別な1本であることが発表された。

2018年のチャリティーオークションモデル。
「RM 11‐03 オートマティック フライバック クロノグラフ マクラーレン」の特別製作モデル
プロトタイプ ・世界限定1本!!

ケースバックにMcLaren F1ドライバーのフェルナンド・アロンソ選手(スペイン)、ストフェル・バンドーン選手(ベルギー)の2名のサインをプリント。



自動巻き、オレンジクオーツTPT®xカーボンTPT®、オレンジラバーストラップ
通常販売予定価格:23,004,000円(税込)


●会場に展示されたオークション・モデルRM 11-03」

入札期間:2018年7月1日(日)~9月30日(日)まで
入札受付:リシャール・ミル ブティック銀座の店頭
またはfax.03-5537-5024にてご入札ください
落札発表:2018年10月1日(月)
リシャール・ミル ブティック銀座の店頭、ホームページにて
寄付先:認定NPO法⼈ カタリバコラボスクール(東北)
熊本県庁 熊本城・阿蘇神社等被災⽂化財復興⽀援委員会(熊本)
ラファ・ナダル財団(スペイン)
バッバ・ワトソン財団(アメリカ)
YB アフレイド財団(ジャマイカ)
マクラーレン社財団(イギリス)

基金専用のオフィシャルサイト、RM Foundationも開設されている。
https://rmjapanfoundation.jp/


また、このプレス発表当日には、リシャールミルジャパンのファミリーである5人のアスリートが終結し、(その日試合があった阪神タイガースの金本監督はメッセージビデオ参加)、川﨑社長を交えたトークセッションで会場を盛り上げていた。




(写真上)左から、6月からファミリーに加わった女子ゴルファー青木瀬令奈、レーシングドライバー松下信治、プロゴルファー宮里優作、スノーボーダーの竹内智香、レーサーの松下信治の各選手。
(写真下)を送った金本知憲監督から送られたビデオメッセージ。








ファミリー5人のアスリートに川﨑社長と女性MCを交え、各選手とリシャール・ミルとの出会いや、エピソード、そして自身の将来の目標など、和やかなトークショーが行われた。




またこの日には、あわせて新作である「RM 71‐01 オートマティック トゥールビヨン タリスマンの正式発表も行われた。
当サイトではすでにカミネさんがご紹介済みであるが(参考 https://watch-media-online.com/shop_news/1540/ )、トライバルアートとアールデコを融合させ、自社製オートマチック・ムーブメントによってトゥールビヨンを駆動させるという驚異的なレディース・ウォッチである。



今年のオークション・ピースとなった「RM 11‐03 オートマティック フライバック クロノグラフ マクラーレン」、
そしてこの「RM 71‐01 オートマティック トゥールビヨン タリスマン」

の2モデルに関しては、別稿で詳しくまとめたいと思う。


スピーチの中で川﨑社長は、ラグジュアリー・ビジネスとしてのリシャール・ミルが最も重んじている3つのキーワードを挙げた。それは・・・

①チャリティ
②セカンドマーケット
③ホスピタリティ
というものだったのだが、これらをさらに読み解くことで、現在のリシャール・ミルの好調の理由の一端がわかるのではと、以下、簡単にまとめてみた。


①「チャリティー活動」
これは今回の記者発表の主題としてフィーチャーされた点でもある。欧米では宗教的な倫理観もあって、チャリティは成功者にとって非常に重要な責務という考えが定着しており、世間もそれを注視している。
しかし、社内に正式な基金を設けたのは、各国のリシャール・ミル現地法人に先駆けリシャールミルジャパンが初なのである。
「ラグジュアリーブランドと名乗るからには、物質的な豊かさの提供だけでなく、心の豊かさも兼ね備えることが当然と考え、 支援を必要としている方がいるならそこに手を差し伸べること、それをブランドの使命として、今年も認定NPO法人カタリバ、熊本県庁熊本城・阿蘇神社等被災地文化財復興支援委員会、ラファ・ナダル基金、バッバ・ワトソン基金、YBアフレイド基金、マクラーレン社等など複数の団体や基金に7000万円を寄付する予定」というのがこの日の発表の骨子だが、特に東日本大震災を経験し、その際に多くのリシャールミル・ファミリーの支援を得た日本法人は、この部分に計り知れない恩義を感じ、そこに敬意をはらっていると感じる。
そして“ファミリー”という繋がりを通じて、その想いをよりポジティブかつポップに打ち出せるのが、このブランドの強みとなり、既存の日本企業とは一線を画したイメージづくりを可能にしている気がする。



②「セカンドマーケット」への傾注。
販売することで終了するのではなく、そのピースが中古品(リシャール・ミルではビンテージと呼んでいる)となった際にも、適正な市場価格と品質クォリティーを提供するための“認定中古制度”を導入している。

このシステムには売り手・買い手双方に多くのメリットがある。セカンドマーケットの流通にブランドが関与して販売価格が適正に維持されることは、売り手にとっては資産価値が裏書されることにつながる。買い替えなども非常にやりやすくなる。一方、中古品を買う際に一番の不安点である品質の保証がブランドから与えられることは買い手にとっても重要なメリットである。
さらにここには、現状の需要と供給のバランスから、販売する時計が足らないというブランドにとっても利点がある。この現状を多少ならずとも補い、リシャール・ミルを欲する人にビンテージ品を譲渡することができるという、3者すべてが丸く収まる美しい循環が生まれているのだ。

この話題に関連して川﨑社長は、「ウチはすべてガラス張りですから」と、ほぼ正確な売上本数と金額を公表してくれた。
前期(17年9月期決算)は448本を販売し、売上高は52億円(過去最高)を記録。
しかし今期は、5月までの8カ月で、すでに390本、過去最高だった前期を上回る62億円を売り上げており、業績予想を大幅に上方修正する必要があるとし、18年9月の期末までには500~530本の販売と70~72億円の売り上げを見込んでいるという。
また認定中古業務でも、前期は一年で50本の販売のところ、今期は8か月間ですでに44本、8億円強の売り上げがあり、最終的には20億円の販売を見込んでいる。
つまり順当に商品が入ってくればという前提付きではあるが、リシャール・ミルというブランドの日本国内でのビジネスにおいて、正規品とビンテージ品あわせて、100億円市場を見据えていると話す。

しかしその一方で川﨑社長は、リシャール・ミル本人との間で数字を目標にする議論は一切したことはないともいう。ユーザーに満足いただくことがビジネスの成功であり、それを積み重ねていけば必ず数字はついてくるという(リシャール本人との)共通理解のもとで、数字的な展望を持たないままやってきた。買っていただいたお客様がその後に、我々と一緒にブランドを繋げていってくれるような、そのための努力をしていこうという基本は変えない、と断言する。
その姿勢が三つ目の柱につながる。


③徹底的な「ホスピタリティー」
どのような方がリシャール・ミルを買われるのかを知り、その方をさらに満足させ、喜ばせるためにはどうすればよいのかを、常に全社の全スタッフで考える。

リシャール・ミル氏の人柄がにじみでるようなこうした姿勢が、一番わかりやすく出ているのは、ブランドが主催する各種のイベントだが、それだけではなく、所有した方であればわかると思うが、他業種とのコラボレーションやアスリートとのパートナーシップ、さらには素材の選定などによって、時計をよく知らない人にもリシャール・ミルという時計とブランド・ネームがアピールしやすい状況を、常にブランドが作っていてくれていたりするのである。



モデルの平均単価が2180万円、年間生産数は5000本弱というスキームのリシャール・ミルがここまで好調な理由のひとつは、以上のようなビジネスの指針が基盤となってることは言うまでもない。そしてさらにそこに、RM作品の基盤となっているリシャール・ミル氏のコンセプターとしての独特にして先端的な感性が加わることで、いま、リシャール・ミルは新たな支持層を得ているという。川﨑社長は次のように語る。

「たいへん若いお客様に評価をいただいている。30代どころか、20代のユーザーが数名どころではなく、かなり多くいらっしゃって新規のお客様がどんどん若くなっている。2000万円を超える時計だが、20代・30代の若者に買っていただいている。これは、私たちの当初からの目標であった、着用できる高級スポーツ・ウォッチというスタイルが、いまの若い方たちの愉しみ方と合致して、新しい需要が広がっていると分析している」という。



時計マニアから「レオン」「ゲーテ」のリッチなおじ様から、そしてついには20代のエクストリーム富裕層まで、通常は相いれない指向性を持つ層がこぞってラブ・コールを贈るリシャール・ミル。

もはやこれは、リシャール・ミルという“文化”なのかもしれない。
奥深き哉・・・。










【More Information】
http://www.richardmille.jp/



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by A-LS | 2018-06-19 22:14 | リシャール・ミル | Trackback | Comments(0)

粋人たちの宴~時計納品会&ワイン会


時計好きには粋なお方が多い。
この世も、素晴らしい趣向の納品会&ワイン会に出席させていただいた。


今日の主役はこちら、
ミニット・リピーター + トゥールビヨン + レトログラード日付表示付永久カレンダーという
パテック・フィリップでも珠玉のPOR品、
5216Pである。



この日はワイン会も兼ねているので、まずはシャンパン。

数日前に誕生日を迎えた方がいらっしゃったので、その方の誕生年のドゥラモット・ブリュットを、しかもマグナムでご用意。
粋人はこうした配慮にもぬかりはないである。



その後、白で、コント・ラフォン2004年、赤はルロワのクロ・ド・ヴージョ グラン・クリュ2006年!
もちろん、どちらも素晴らしく、「ああ、素敵なワイン会~」と、ほろ酔い気分で談笑&食事していると、
次のセレクトが、なんとまぁ、シャトー マルゴーの、しかもボルドー最強の『当たり年』のひとつ1982年!!!!

この日は参加メンバーが10人を超えていたので、同ヴィンテージを2本ずつ用意。
だから並ぶと、こんな感じ。

もはやドゥラモット・ブリュットは画角の外だし・・・。

とにかく、あまりに素晴らしくて言葉にできない・・・「もう、今日は本当に最高でございます!!」

誰もがこれでデザートと思った頃・・・、


今夜の主役がとてつもない形で現れたのである!




シャトー・オー・ブリオンの1952年 と 1916年、
2つ合わせて、「5216」なのでございます。




これは、自分史上でも5本の指に入る素晴らしいワイン会に違いなく、その美酒を堪能しすぎて、こちら5216のクローズ・ショットをはじめとする、肝心の時計写真がおろそかになってしまった、面目ない。。。


ゲストの着用時計の集合写真も、あるにはあるのだが、ちょっと訳あってお蔵入りなので、どうかこの3ショットで許されてほしい。



では、ここでクイズです。
この3本の共通点は何でしょう(回答は2つあります)?
10秒以内に正解した方はそうとう“重症”です(笑)。




※ヒントというか、答えは文頭をよく読んで!





最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。




よろしかったら、皆さまのOFF会も、当WATCH MEDIA ONLINEの
この企画、「WATCH MEDIA OFFLINE」に掲載してみませんか?

詳細は以下で。
https://watch-media-online.com/offline/

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by A-LS | 2018-06-05 22:15 | パテックフィリップ | Trackback | Comments(0)

A.ランゲ&ゾーネの3つのニュース、フィリップス・オークション落札瞬間動画から北米限定モデルまで!


A.ランゲ&ゾーネからの小さなニュースを3つまとめてお届け!


まずは、ちょっとしつこいかもしれないが、先日のオークションで9000万オーバーという高額で落札された、「1815ウォルター・ランゲへのオマージュ」のSSユニーク・ピースだが、そのハンマーの瞬間を撮った動画が配信されている。




10万スイスフランからはじまり、あっという間に60万スイスフラン、ここからはオンライン・ビッダーと会場にいらしゃるパドル・ナンバー1番の紳士との一騎打ちとなります。そして競り勝ったのは会場!!
ちょっと手に汗握る動画だ。

落札者された御方の詳細はもちろん明らかにはされないが、わたしはちょっとした推論を試みた(笑)。
紳士がお召しになっているダウンベストをご覧いただきたい。
これ(動画からキャプチャしたもの)ってもしや・・・・


これ(ハンガーにかかってるもの)に似てない??

だとすると、この襟を立てると、このロゴが出てくるはず!



これはA.ランゲ&ゾーネが後援し、毎年VIPを招待しているコモ湖のクラシックカー・イベント、「Concorso d'Eleganza 」の招待客にのみ配られるベストだ。

この紳士は、コモ湖に招かれるほどのVIPユーザーであり、A.ランゲ&ゾーネのネームの入った愛着ある衣装に身を包み、パドル番号からわかるように、ほとんど一番乗りで会場入りし、つまりそれはもう、並々ならぬ覚悟を持ってこのオークションに臨んでいたのではないだろうか・・・。

もしわたしが想像するようなキャラクターの御方であるならば、あの貴重な時計がそういう方の御手元に渡ったことを、天国のお爺様もきっとお喜びに違いない!

余談だが、このオークションの落札者には、「1815ウォルター・ランゲへのオマージュ」の全ケース(YG、WG、PG)の限定番号1番を購入できるプライオリティー権が付属するそうなので、この老紳士はSS含めた全色のNo.1番を所蔵することになるかもしれない。めでたし、めでたし。


で、なかなかグッド・タイミングなことに、さっきのダウンベストの話に出てきた、「Concorso d'Eleganza 」がつい先日開催され、ちょうどその動画も配信されたばかりなので、2番目の小ネタとして紹介しておこう。



このイベントも7年目なので、やや新鮮味には欠けてきた気もするが、CEOがハマっているようで、まだ続きそうだ。
わたしも最初の3年は熱心に書いたが・・・、

(参照)
2014年 https://alszanmai.exblog.jp/22752437/
2013年 https://alszanmai.exblog.jp/20510148/
2012年 https://alszanmai.exblog.jp/18388943/

ここ数年は、我ながら記事の濃度は薄く(笑)、とうとう昨年は書いていない(汗)
2016年 https://alszanmai.exblog.jp/25855901/
2015年 https://alszanmai.exblog.jp/24501732/


知りうる限りでは、今年の記事もこのTime Zoneくらいだろうか。
興味ある方は、下をクリック!
http://forums.timezone.com/index.php?t=tree&goto=7536612&rid=0#msg_7536612


さてこれで、小ネタ2つ終了。


最後の三つめは、新作時計のお話。

実は、こんなのが出ているのだ!!!



サクソニア・アニュアル・カレンダーのグレー文字盤(+ブルーストラップ純正)だ!! 

今年の4月に北米マーケット・リミテッドで発表されたもので、限定数は25個。
実物はきっとさらにカッコ良いと思う。

このアニュアル・カレンダー、グレー文字盤ということのほかに、もうひとつ、ランゲ史上初めて採用されていることがあるのだが、下の画像をよく見て、おわかりでしょうか~?





10秒以内で正解された方には、
“首までランゲ沼”賞を認定しよう(笑)!!



正解は、
ローターのA.ランゲ&ゾーネのロゴ部分の背景にブラック・ロディウム・メッキが施されていること。

では、正解画像をドアップで!

アメリカの方は、ロゴ回りを特殊化するというのがお好みなのだろうか。
他ブランドでもこういうロゴ回りをイジる例があった気がする。

北米マーケットの、それもニューヨーク、マイアミ、コスタメサ(カリフォルニア州)にある3軒のA.ランゲ&ゾーネ・ブティックのみでの取り扱いとのことだ。


興味のある方は、ダメ元でお問合せを!!
https://www.alange-soehne.com/ja/retailers-and-boutiques/#pos-3959







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by A-LS | 2018-06-03 10:48 | ランゲ&ゾーネ | Trackback | Comments(0)

クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーにまみえる~カール‐フリードリッヒ・ショイフレ氏を追いかけた一日のレポート!



まずはこちらの動画をご覧いただきたい



いかがだろう、機械式時計を趣味とするならば、おそらくほぼすべての方が、機械としての美しさや機構への探求心や、ともかく何らかのポジティブな興味を抱くのではないかと思う。

実際、この時計についての否定的な評価や見解は見たことがないけれど、その反面、この時計の凄味ゆえか、この機械の素晴らしさは長々と書かれすぎて、かえって伝わっていないという感じもする。

なので端的に言ってみよう。

この時計のブランド名は 「クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー」!!


機構的に押さえておきたいのは以下の三つ。
①フュゼ・チェーン(鎖引き)
②トゥールビヨン
③コンスタントフォース

デザイン面では、マニアックなパーツが可視化されていることも特筆点だ。
①裏透けの大きな開口に鎮座するトゥールビヨンのキャリッジ、
②ケースサイドの窓から覗けるチェーンフィージーの鎖や輪列、
③文字盤中央の開口部からは噛み合う2つの歯車が互いに逆方向に回転する様を見ることができる。


こうした実に的を得た可視化は、よほどの時計好きか本物の時計バカでなければ採用できない。
この時計の生みの親こそ、ショパールの共同社長であるカール‐フリードリッヒ・ショイフレ氏そのひとなのである。


先月のある日、フェルディナント・ベルトゥーの日本における初めての本格的なプロモーションが催された。
発表された全モデルの実機、18世紀に作られた歴史的な名機、そしてショイフレ氏も来日して行われたプレゼンテーション・イベントから、スイス大使館でのプレス発表、そしてWMO読者と友人を招待していただいたディナーまで、一日ショイフレ氏を追いかけ、その素晴らしい時計とさらに素晴らしい人柄に触れることのできた得難い一日をレポートする。


まずは午前中に開催されたのは、「クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー」の日本メディアへの初のお披露目会といえる「The first exclusive presentation of Ferdinand Berthoud in Japan」。

ブランドのルーツであるフェルディナント・ベルトゥーが、マリンクロノメーターの開発で名高いところから、運河に浮かぶ船をモチーフとした建物を、わざわざ探し出しての開催というのも、本当に作品を愛する故のこだわりが感じられる。


定刻にショイフレ氏のあいさつ。


18世紀を生きた早すぎた天才時計師、フェルディナント・ベルトゥー作品との出会いからはじめ、2006年にその名称使用権を取得した経緯や、フェルディナント・ベルトゥーを現代に送り出すにあたり、どのような時計であるべきか、ベルトゥーのオリジナリティをどのようにリバイバルさせるべきかなど、300年の時の流れと真摯に向き合い熟考を重ねた10年に近い長いプロセスを静かに語ってくれた。
そして誕生した現代のフェルディナント・ベルトゥーが、いかに時計愛好家の胸に刺さったかは、2015年に発表された「FB-1」が、ジュネーブ時計グランプリ(GPHG)の大賞である“金の針賞"を、なんとデビュー年目で獲得してしまったことからも明らかだ。

続いて、ブランドのジェネラル・マネージャーであるヴァンサン・ラペール氏がフェルディナント・ベルトゥーのヒストリーをレクチャーしてくれた。

1727年にフルリエに生まれた時計師フェルディナント・ベルトゥーについては、勉強不足で知らないことばかりだったため、このレクチャーは驚きの連続、実に興味深かかったのだが、それをすべて書き連ねると、またかえって伝わりづらくなると思うので、向学心のある方は、以下URLを英文ではあるが参照してほしい。
https://www.ferdinandberthoud.ch/en/chronometrie/ferdinand-berthoud-history


ここも端的にまとめると
①26歳で近似差を表示できる時計を作成し、わずか27歳でフランス科学アカデミーのマスター・ウォッチメーカーに認定


②スペイン無敵艦隊はじめ、各国海軍からマリンクロノメーターを受注する第一人者

●18世紀に、この完成度のマリンクロノメーターを残している!

③あのアブラアム=ルイ・ブレゲの師であった!!

20歳年下のブレゲは、ベルトゥーのワークショップで10年近く師事したと伝わっているのだが、まぁ、とにかく凄い御方だということを実感していただければ幸いである。

続いてラペール氏は、ルーツとした300年前のベルトゥー、特にマリンクロノメーターをいかに現代的に解釈してリストウォッチとして結実させたかについて、興味深いレクチャーを行ってくれたが、ともかくムーブメントが美しいのだ。





支柱と吊り下げ式構造によってブリッジという概念から自由になったフュゼ・チェーン機構


幅35㎜×厚8㎜というスペースに1120余りの部品がコンパクトに納めされている。


まだ機構を完全に理解できたわけではないが、このムーブを見れば見るほど、驚嘆すべきこの美しい機械に至福を感じてしまう。


プレゼンテーションは、場所を1階のキャビンに移し、ここでランチ・ビュッフェをいただきながら、実機を手に取って拝見する。ゲストの中には購入を考えていらっしゃる愛好家の方々などもおり、熱心にご覧になっていた。
その最後のひとりが席を立つまで、ショイフレ氏はその場にとどまっていたが、その表情はブランドの代表者というよりも、時計愛好家のそれであった。

●ゲストを迎えての乾杯。左からショパール ジャパン GMトーマス・ドベリ氏、奥様のクリスティン・ショイフレ氏、ショイフレ氏、ヴァンサン・ラペール氏。


●運河を背景にした実機展示と、会場でのランチ・ビュッフェで振舞われたワイン、実はこれ、ショイフレ家所有のワイナリーのもの! フルーティーで仄かな甘みと豊かなが絶妙でした。






そしてその日の夕方、ショイフレ氏の姿はスイス大使館にあった。



午前の時計愛好家の表情から、グランメゾンを率いるショパールの共同社長として、ブランドにとって重大なマニフェスト、「100%エシカルゴールドへのコミットメント宣言」のプレスカンファレンスを、バーゼルワールドに次いで世界に先駆けて日本でおこなったのである。

バーゼルワールドの初日に発表されたこの宣言は、当ニュースサイトでもすでに紹介済みであるが、
(参照) https://watch-media-online.com/news/1368/

要は、不当な賃金や労働力の搾取など、社会性を著しく損なうことで生産された金(ゴールド)を、企業として一切使わないというもの、つまり、できるだけ安く仕入れて利益を高めるという企業の論理を超越した宣言といえる。


●スイス大使館にてスピーチするショイフレ氏

人々の生活や人生を豊かにするラグジュアリー・アイテムに、金(ゴールド)は欠かすことのできない素材だが、その調達の結果、不当な扱いを受ける生産者や労働者がいるであれば、ブランドとしてそれは改善すべきで、ショパール・ユーザーが、製品とともにこの考え方をも身にまとっていただきたいという想いの発露でもある。


●スピーチするジャン=フランソワ・パロ 駐日スイス大使

●ショパール ジャパン GM (or ジェネラル マネージャー) トーマス・ドベリ氏の挨拶と、プロジェクターのショイフレ氏の声明。


ビジネスとは社会貢献でなくてはならない。
それは、ショパールというグランメゾンにありながら、独立時計師的なアプローチとこだわりを持つフェルディナント・ベルトゥーという、ある意味、採算を度外視した時計製造セクションをつくったのも、まさに同じような発想と言えるのかもしれない。

(ショパールHPより:100%エシカルゴールド)https://www.chopard.jp/ethical-gold-manifesto
(同:企業の社会的責任‐CSRについて) https://www.chopard.jp/corporate-social-responsability


会場となったスイス大使館には午前中を上回る多くのプレス関係者が参加していた。女性誌やラグジュアリー・メディアの方々も多くみえた。それは当然のことなのだが、ショパールのブランドイメージがジュエリー・ブランドとして広く定着しているのは、世界広しといえどおそらく日本だけらしい。
彼らのマニファクチュールである自社開発ムーブメント、ブランド創始者のルイ‐ユリス・ショパールにちなんでL.U.Cと名付けられたムーブメントの精度・安定性・拡張性は高く評価されており、欧米でもアジア先進国でも、この優れた自社製ムーブメントL.U.Cを持つショパールは、ジュエリーブランドであるのと同等に、高級機械式時計のグラン・メゾンとしても定着している。

そうしたイメージもあってか、フェルディナント・ベルトゥーの全モデルが一堂に会するディナーをWATCH MEDIA ONLINEだけのために開いていただけることになったとき、声をかけた何人かからはネガティヴなお返事もあった。彼らは後に参加しなかったことを大いに悔やむことになるのだが(笑)、おかげで、その夜のディナーの席を占めたのは、私の友人中でも生粋の時計馬鹿な面々オンリーとなったのである。(札幌から飛んできてくれた方もいた!)

この"クローズド・ディナー"は個人的に本日最大の大仕事なので、わたしはスイス大使館のプレスカンファレンスを中座して、ホストのひとりとしてゲストを迎えるべく大使館近くのレストランへ移動した。

会場となったレストラン個室には、フェルディナント・ベルトゥのハイケースがすでに数基搬入されていて、すでに展示会場の趣が出来上がっていた。こういう心配りやもてなしの徹底は、ラグジュアリー・ブランドでなければ育ち得ないDNAだ。

ゲストも揃い、まずはヴァンサン・ランペール氏による、フェルディナント・ベルトゥーのヒストリカル・ストーリーとブランド設立の概要、そして基本的な機構についてのレクチャーからスタート。


このディナーでは、通訳をショパールのカスタマーサービス部のウォッチメーカーさんに勤めていただいたので、レクチャー中に時計の機能に関するややこしい質問があっても、スムーズに対応していただけた。これも凄いことだ。

あとは次々と運ばれてくるお食事とワインを楽しみつつ、気の置けない友人たちとわいわいがやがや、実機をいじりたおす(笑)。

●サイズの微調整が可能なユーザーフレンドリーなバックル

このディナーにゲストを呼ぶにあたって、わたしが書いたメールはこんな感じだった。
「ショパールの共同社長ショイフレ氏が会社とは別に徹底的にこだわった、おそるべき完成度の高い時計を、フェルディナンド・ベルトゥーというブランド名で作っております。
今回、これまでに発表した全7モデルとムーブメントが一堂に見られるディナーを、WATCH MEDIA ONLINEだけのために
開いていただけることになりました。ご興味お持ちでしたら、ぜひご出席いただきたいのでご連絡ください。」

宴の終了後、参加してくれたほとんどすべての友人ゲストから、「ディナーも時計も実に素晴らしかった」という賛辞の声をいただいたが、その印象はやはり、この方が駆けつけてくれたことが最大の要因だった・・・。



そろそろメインディッシュという頃に、大使館でのプレスカンファレンスを終えた、カール‐フリードリッヒ・ショイフレ共同社長と奥様のクリスティン・ショイフレ氏が、わたしたちのディナーに参加してくれた。会場がスイス大使館の近くのレストランに設定されていたのも、このためだったのである。

自身も時計愛好家として素晴らしいコレクションを持つショイフレ氏は、社長の顔ではなく、時計ファンとしてすぐさま私たちと打ち解けてしまう。実はヴァンサン・ラペール氏も生粋の時計マニアであり、こうなるともうディナーはたちまち時計OFF会のようになってしまう。
ゲストのひとりがショイフレ氏に自身の着用時計を見せると、たとえそれが他ブランドのものであろうとおかまいなく、素晴らしいものは褒め、さらにその機能について奥様にご説明を始めたりする。




●新作のレギュレーター。フェルディナント・ベルトゥーの歴史的マリンクロノメーターNo.7からインスパイアを受けたデザイン。オリジナルの図面と比較している画像はバーゼルワールドで撮影したもの。


そしてまた、ショイフレ氏はどんな質問にもにこやかに応じてくれた。なかには資本関係や後継者に関することなど、訊くのはいかがと思う質問もあったのだが、ドベリCEOは全然かまわずに通訳しちゃうし、ショイフレ氏もそれらに笑みを浮かべて答えてくれちゃうのだ。この両者の信頼関係も凄いと思った次第である。

もともと販売のためのディナーという意図もなく、実質は、スイスと日本の時計愛好家同士がコミュニケーションを深めるディナーというか、時計馬鹿が出会うとこうなるという典型的な宴となり、ビジネス的なプレッシャーは皆無のまま、デザートが出る頃にはショイフレ氏は席を移動し、参加者のほぼ全員と親しく時計談議に花を咲かせてくれることになった。


●友人たちの中では一番人気だったチタンケース・モデル



時計好きがこだわりぬいたとき、どのような時計が生まれるのか。
その答えをわたしたちは独立時計師と呼ばれる人々のパッションの中に追い求めてもいる。
しかし、独立時計師が突き当たりがちな、労働力や資金面の心配なしで、すべて満たされた環境が与えられたとしたら、どんな時計が生まれるのだろうか。
そんな、まったくの夢としか思えないような問いに対する答えのひとつが、「クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー」という作品に他ならなのではないだろうか。

もちろん企業である以上、投資した資金を回収して利益を生むことが前提なので、これだけの完成度の作品となると、おいそれと買えるような値段ではないのも事実だ。しかし、時計に魅せられた者の胸にぐさりと刺さるあの感情と感覚に溢れた作品であり、「クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー」はまさに、ショイフレ氏の率いるショパールでなければこの世に生み出すことのできなかった作品なのである。



まだまだ書きたいことは多々あるのだが、あまり書きすぎるとかえって伝わりづらくなることもあるので、今日はこの辺で我慢だ(笑)。





最後に、この素晴らしい一日に関わっていただいたすべての皆さま、カール‐フリードリッヒ・ショイフレ共同社長と奥様のクリスティン・ショイフレ氏、トーマス・ドベリGMをはじめとするショパール ジャパン・スタッフの皆さん、ヴァンサン・ラペール氏、そしてなによりも、この素晴らしい時間を共有してくれた我が時計馬鹿なる一番大切な友人たちへ、心からの感謝を述べたい。


ありがとうございました。





クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーに興味を持たれた方は
下記までお問合せ下さい。

ショパール ブティック 銀座本店
東京都中央区銀座 2-4-14
ショパールビルディング
03(5524)8972

boutique.ginza@chopard.jp


また、いきなり本店ブティックでは敷居が高いと感じる方は(笑)、
このブログのコメント欄に連絡先などお残していただければ
ご案内など含め、いろいろとお手伝い可能です。
お気軽にどうぞ!





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by A-LS | 2018-06-01 03:39 | 時計いろいろ | Trackback | Comments(0)