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2016年のジレンマ


2015年の今頃は、ツァイトヴェルクのリピーターや新生ランゲ1の分析&所感を書きまくっていたような気がする。

昨年のノヴェルティーの代表格であった「ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター」や新生「ランゲ1」の、これら新作時計の意図するところや機構上のアドヴァンテージについて、自分の思うところを何とか早く伝えたいと意気込んでいたのだが、ところが今年はなかなかそういう意欲が湧いてこない。

もちろん、今年のランゲ新作、悪くはない。

2016年のジレンマ_b0159560_05081511.jpg
※上の画像は、クリックで超拡大されます。


ただやはり、上位機種が軒並み”限定”だもんで、実機を手にするどころか見ることさえ叶わないかもしれない時計のことをいくら掘り下げても、なにか役立たないというか”見せびらかし”に近いような気がして、いまいちテンションが上がらないのかもしれない。

たとえば「ジャンピングセコンド」のムーブメント画像やら、運針やゼロリセットの動画などの用意もあるにはあるけれど、良い時計だけに書きたいことはそれなりにあるにもかかわらず、積極的には書きたくならないという、なんか変な感じ、これが2016年のジレンマ・・・・。


というわけで、ランゲの新作については個人的雑感めいたものを毎年まとめてきたが、今年はこのジレンマが重篤ゆえに、まとめにならない書き散らかしでというか、ま、例年だったらこんなことをテーマにしてまとめを書いただろうなぁ・・・というアウトライン集みたいな感じで、とりあえずご勘弁を(笑)。




【その1】ジェローム・ランベールの遺産
ランゲのキャリバーはそのナンバーから製作着手年度が解かるということは何度も紹介してきたが、今年の新作の多くが2009年、つまりファビアンが退き、ジェロームが乗り込んできた初年度のものであることは特筆すべき点だろう。
すなわち、L093=フラッハ、L094=リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド、L095=グランド・ランゲ1ルーメン。ちなみに次の番号はL096=テラルーナである。
ではL091、L092は何かというと、これが今のところは発表されていない欠番キャリバーなのだ。
おそらく、このL091、L092はファビアンのプロダクトだったために”お蔵入り”した可能性もある。実際、ファビアン政権末期のムーブメントには欠番(いまだ未発表のもの)が多く、かなりのものが”お蔵入り”となった可能性が高い。
で、ここで興味深いのは「ジャンピング・セコンド」で、思い起こすと、ジェロームの古巣ジャガールクルトも昨年の秋に、”トゥルーセコンド機構”と名付けた新しいムーブメント、cal.770を発表しているのだが、これがまさにデッドビート(ジャンピング)セコンドなのだ。同じボスが離れてからほぼ同時期に完成したスイープ運針時計、通年のテンションだったらば両者の輪列図でも並べて、その相違点・共通点などを論じたところだが、2016年ジレンマが重篤のため(笑)、誰かが調べてみていただけると有難い、いや、ほんとに。


【その2】ザクセン・テクノロジー比較
それからもうひとつ、ジャンピング・セコンドとそのルモントワールについて、ザクセンの名匠ラング&ハイネの「コンラート」とのムーブメントの比較検討をしてみたいのだが、これもまた、是非ともどなたかの賢人さまにお願いしたいところである。


【その3】シュミット色(=ライン化)の功罪
これは2014年のランゲ新作・雑感まとめでも指摘した点だが、それが年々徹底されてきた。この方向性は、製作デザイン面やおそらく製造工程などいろいろな面での合理化を可能にしたのだろうが、ブランドの冒険心とか面白みは明らかに減じていると感じる。もちろん功罪ともにあるので一概に良し悪しを論じることは難しいが、ま、来年に期待(笑)。


【その4】マーケット分析
プレスシート掲載時にも書いたが、限定時計はユーロ価格設定だとか、限定多すぎ案件とか、販売方法に関するもろもろの件について、こうした極端な施策がとられたのは、ランゲを含めた多くのブランドが今年のマーケット動向を、中国の景気鈍化(もしくは”失速”)によって減衰していくと予想していることによるのだと思う。新作の内容を論じる際には、この点も考察せざるを得ない点だろう。


【その5】ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン
これは「その1」でも触れたキャリバー・ナンバーにも関わる疑問なのだが、ワンモデル=ワンムーヴが大好きなランゲが、この大作のキャリバー・ナンバーをダトパーペの枝番処理、つまりL952.2とした点だ。同様の処理はサクソニア・ムーンなどでも行われており、この傾向の意味するところについての仮説をいくつか立てたのだが、ま、これは来年の動向を確認してからかな。





…てな感じなのだが、これらはまた気分が晴れやかな時にでも(笑)、改めて考えてみたい。































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by A-LS | 2016-02-08 05:37 | ランゲ&ゾーネ