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a-ls 時計(Mechanical Watch Users News) blog.

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Lange31 調査結果

先月に書いたLange31の記事から続きます。

まずはこちらの画像から。
これは、ランゲ&ゾーネの2007年のカタログの表紙を拡大したもの。
この年に華々しく発表された31日巻の超ロングパワーリザーブ・ウォッチ「ランゲ31」が当然のごとく、大きくフィーチャーされている。


Lange31 調査結果_b0159560_13261481.jpg
そして、この「ランゲ31」の実機が各国でプレゼンテーションされた。
以下のリンクはピーター・”アンクル”・チョン氏が、TimeZoneに掲載した実機プレゼン・イベントのレポ―ト記事。

http://www.timezone.com/2014/10/06/archives-lange-sohne-lange-31-peter-chong/
※上記ページの実機サンプルを見る限り、時計は稼働していることが推定される。


オマケに動画も。


それが2009年の動画になると・・・


どこが違うかお解りだろうか?

では画像で、ランゲ&ゾーネの2008年と2009年のカタログを比較してみる。
Lange31 調査結果_b0159560_13390158.jpg

右が発表翌年の2008年の「ランゲ31」で、左が2009年カタログの「ランゲ31」。



ね、違うよね!?



パワリザーブの回転方向がまったく逆点しているという事実!!
これをブログ読者のCC Fan さんのご指摘を受けるまで、少なくともわたしの知りうる限り、国内外のブティックスタッフはじめ、これまで誰も気づかなかったのだ。


早速この件の経緯に関して、ドイツ本社に問い合わせていただいたところ、
最初は「2007年のカタログ写真が間違えていた。何も変更されていない」という回答が届いたが、

『いやいや、2007年のプレゼンで12時側が「0」の実機を見た』と戻してもらったところ、

「それはサンプルのみで販売用には出回っていない」という答えが返ってきた。


というわけで、ここまでの事実関係を整理すると、
2007年に発表された当時のLange31のパワリザーブ表示は、12時側が「0」だったし、同形の実機サンプルが各国で展示・プレゼンされた。
その後、何故かランゲ31のデリバリー情報は聞かれず、2009年頃からデリバリー&一般市場に登場し始めた時は、特に何のアナウンスもなく12時側が「31」のパワーリザーブに変更されていた。


で、なぜそうなったかという、ここからは推測だけれど・・・
発表後に、おそらく何らかの改善点があり、その修正のために約2年の時間とパワリザーブの反転が必要だったのではないか。

そしてその改善点とは、「ランゲ31」が採用していたルモントワール機構に関するものではないか・・・と想像するのだ。


※ランゲ31のルモントワール機構の3Dアニメーション



あの当時、FP Journeや Breguet、IWC、DeWitt、Christophe Claretなどのブランドが一斉に研究成果を発表していたルモントワール(コンスタントフォース)だが、「ランゲ31」のルモントワールはトルク効率が良くないのではなどの一部指摘もあった記憶がある。
もしかしたらランゲ・サイドも、発表後にもその辺の機構を突き詰めた結果の、”2年”と”反転”であったのではないか。

また、「ランゲ31」は2007年中にいくつもの賞を受賞していたことなどもあって(ランゲが2007年に受賞した時計関係の賞は18にものぼった)、機構上の変更&改善を大きく喧伝することは避けたかったのではないか。

ちなみに、責任者のファビアン・クローネCEOもこの2009年に退社しているので、もはやその真実を確かめるのは難しいが、もしもわたしの推論がなかなか良い線を衝いているとするならば、同じルモントワール機構をさらに効率化して引き継いだ「テラルーナ」は、11年越しで完成したランゲのルモントワール機構ということになる。


うん、それはそれで実に感慨深い。(笑)




CC Fan さん、
調査の結果はこんな感じでよろしいでしょうか?
また、この件の調査にご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。














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by A-LS | 2015-11-22 14:38 | ランゲ&ゾーネ