「未来世紀ジパング」をみて
感想の第一は、まもなく91歳になるウォルターお爺ちゃんが、とっても元気そうで安心したこと。
なにはともあれ、これが一番!
ココだけの話だけど、お爺ちゃんへのインタヴューには、ちょっとしたコツがいるんだ。
頭もしっかりしているし、言語も明瞭なのだけれど、ちょっとせっかちなのか、頭の回転が速すぎるのか、
インタヴューの質問の途中で、つまり本来訊きたかったことを質問する前に話し始めたり、質問にインスパイアされた別の回想を話したりすることがあるのだ。
たとえば、
「16歳で時計師になる決断をされたそうですが、それから約70年を経た今、時計師とって一番大切なのはどのような資質だと思いますか?」
みたいなことを尋ねようとした場合に、お爺ちゃんは質問を全部聞かず、こちらにとっては前フリにすぎなかった16歳という単語に反応し、その当時の思い出についてのお話を語り始めてしまったりすることがあるのである。
で、一旦話し始めると、自分が話そうと思ったことがきっちりと一段落するまで、(この辺がドイツ人固有の頑固さなのだ!)、それは終わらない(笑)。
なので、お爺ちゃんへのインタビューで、用意した質問のすべてに満足のいく回答を得るには思っていた以上に時間がかかり、与えられた時間内に終わらない可能性も高い。あの番組での池上さんも、たぶん、あの答えを引き出すために、けっこうなたいへんな時間を使ったのではないかと思う。。。
というわけで、もしあなたが何かの拍子でウォルターお爺ちゃんへインタビューすることになった際には、
コツその①:お爺ちゃんへの質問は極力無駄な前フリなどを廃し、かつ解かりやすく、単刀直入に切り込むべし。
コツその②:大事な質問は早めに済ませる。
というのが成功の秘訣だ!
さて、ここからは番組の感想ですが・・・、
さすがにテレビだけあって、いろいろな部分がちょっとずつではあるが、良く言えばドラマティックに(悪く言えばオーバーに)脚色されていたのは、ま、仕方ないのかな。昨日のブログで指摘した建造物の黒ずみも、”大空襲→壊滅→復興”をより意識させたいあまりの勇み足のように感じるし、ウォルターお爺ちゃんのお誕生日は7月29日なので実際はまだ90歳なのだけれど、番組ではすでに91歳と紹介されていたり、『ファーストモデルを発表するや世界中から信奉者が馳せ参じた』的なランゲ復興の部分にも、もう少し説明が欲しかったような・・・。
あと、明らかに間違いだったのが、二度組のところ。
あれは絶対に通訳(翻訳?)の間違いだと思うけど、”調整と仕上げを終えた部品は二度目に「無菌室」で組み立てられる”、みたいなナレーションがあったけど、思わず吹いた。
ランゲ本社工房には何度か行かせていただいたが、わたしの知る限り、あそこに無菌室はない!
あの番組でランゲ・サイドがそのような”虚偽”を伝える理由も必要性もないので、おそらくだけどあれは、『ムーブメントの二回目の組み立ては、埃や塵の少ない環境で組み立てます』的なランゲ側の説明を受けたTV関係の方が、連想的に”埃や塵の少ない→汚れのない→無菌室”みたいな脳内連想をしてしまった結果ではないかと思う。
まあ、とはいえ、世間ではまだまだそれほど知られてはいないA.ランゲ&ゾーネを、あのように取り上げていただけたことに関しては有難や有難やなのである。
テレ東エライ!!