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a-ls 時計(Mechanical Watch Users News) blog.

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カラトラバ・パイロット・トラベルタイム 5524G-001

昨日、「賛否両論でしょうか・・・」と触れましたが、
今のところ「賛・否」までいかず、どうも「?」的な反応が多いようですので、
資料を掲載して、より具体的にこの新作のスペックや機能を確認して行きたいと思います。
まずは外回りから。
(以下、青字はパテック・フィリップのプレスシートより引用)


【外 装】

ケース: 18金ホワイトゴールド
サファイヤクリスタル・バック、防水ねじ込み式リュウズ、3 気圧防水
ケース寸法: 直径: 42 mm
厚さ: 11.01 mm( サファイヤクリスタル・ガラス~ラグ)
厚さ: 10.78 mm( サファイヤクリスタル・ガラス~サファイヤクリスタル・バック)

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長さ: 50.75 mm(ラグ~ラグ)
幅 : 48.53 mm(3時~9時、リュウズを含む)
ラグ間隔:21 mm
文字盤: 真鍮、ニス塗装ブルー
スーパールミノヴァ夜光付18金ホワイトゴールド植字アラビア数字
スーパールミノヴァ夜光付ブルースチール製バトン型現地時刻表示用時・分針
ラック・ホワイト・スチール製バトン型スケルトン出発地時刻表示用時針
スーパールミノヴァ夜光付ブルースチール製秒針
ラック・ホワイト・リーフ型日付表示針
バンド: ヴィンテージ・ブラウンに明色のステッチでコントラストを持たせたカーフスキン
18 金ホワイトゴールドのネジ止めピンバックル付
(※引用終了)

カラトラバ・パイロット・トラベルタイム 5524G-001_b0159560_15250396.jpg
PATEK PHILIPPEのロゴ入が入った新しいデザインののピン・バックルが付くようです。
これは、航空機のパイロットが安全のために身に着けるハーネスなどの形状からインスパイアされたものということで、
この辺にまで細やかなオマージュが配されているのが、いかにもパテック・フィリップらしいです。


続いて技術仕様です。
(以下はパテック・フィリップのプレスシートより引用)

技術仕様】
パテックフィリップ・カラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524モデル
ムーブメントキャリバー324 S C FUS
自動巻ムーブメント
デュアル・タイムゾーン(出発地と現地時刻表示)、出発地と現地各々の昼夜表示、日付
を指針表示
直 径: 31 mm(基本キャリバー27 mm、カレンダー・タイムゾーン・モジュール31 mm)
厚 さ: 4.9 mm(基本キャリバー3.32 mm、カレンダー・タイムゾーン・モジュール1.58 mm)
部品総数: 294個
石 数: 29石
連続駆動可能時間: 最小35時間、最大45時間
巻上げローター: 単方向巻上げ式21金中央ローター
テンプ: Gyromax ®
振動数: 28 800 振動(片道)/時(4 Hz)
髭ぜんまい: Spir omax ®
髭持ち: 固定式

セッティング機能:リュウズの2位置・押し込んだ位置: 巻上げ / ・引き出した位置: 時刻合わせ
表 示: 現地時刻表示用時針(上側)/ 出発地時刻表示用時針(下側)/ 分針 / センターセコンド / 現地の日付を指針表示(6時位置)
表示窓: 出発地時刻の昼夜表示(3時位置)/ 現地時刻の昼夜表示(9時位置)
調整ボタン: 日付調整(6~7時位置)
プッシュボタン: 現地時刻を1時間刻みで前進(8時位置)/ 現地時刻を1時間刻みで後退(10時位置)
特許登録のセキュリティー・システム(プッシュボタンを1/4回転させてロックおよびロック解除を行う)
認定印: パテックフィリップ・シール
(※引用終了

カラトラバ・パイロット・トラベルタイム 5524G-001_b0159560_15280733.jpg
新機構(特許登録)として、誤作動防止のロック機能が付いているようです。プッシュボンタンを回転させることによって、操作のロック&アン・ロックを切り替え可能です。左サイドに大きなプッシャー・ボタンがありますので、左腕に時計を付ける習慣があるユーザーにとっては、かなり有難い機構に思えます。


さて、いよいよ、いかにしてこの時計の開発が成されたかというストーリーを、パテック・フィリップの公式プレスキットから見て行きましょう。
(以下,青字はパテック・フィリップのプレスシートより引用)



報道資料・バーゼルワールド2015・パテックフィリップジュネーブ・2015年3月】
パテックフィリップ
カラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524モデル

パテックフィリップの歴史的アヴィエーター・ウォッチへのオマージュ
カラトラバ・パイロット・トラベルタイム 5524G-001_b0159560_15431027.jpg
新しいカラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524モデルによりパテックフィリップは、航空界の勇気あるパイオニアたちを賛え、航空史のマイルストーンに思いを馳せ、この著名なジュネーブの独立した家族経営の時計メーカーもまた大空の征服に寄与してきたという事実を改めて示した。
1903年12月17日、ライト兄弟により初の動力飛行が行われてから、1927年、チャールズ・リンドバーグが単発飛行機《スピリット・オブ・セントルイス》号により初の大西洋横断飛行に成功するまではわずか24年であった。これほどの技術的進歩がこれほどの短期間で成し遂げられたことに、我々は驚きを禁じ得ない。時計製作の分野では、20年弱の期間で同様の変化が起こった。懐中時計から腕時計への進化である。しかし空飛ぶ機械を操縦する勇敢な男たちと時計製作者たちの間には、もうひとつのつながりを見出すことができるのである。十八世紀に始まった遠距離航海においてと同様、アヴィエーターたちは、飛行のために時間計測機器を必要とした。アメリカ海軍士官フィリップ・ヴァン・ホーン・ウィームスは時角時計のアイデアを思いついた。これは後にチャールズ・リンドバーグの助言に従って改良され、六分儀および無線信号と共に用いてより簡単に、迅速に、正確に現在位置を求めることのできる計器となった。パテックフィリップは、2点のきわめて特筆すべき時角腕時計(サイデロメーター)を開発した(別添資料参照※見当たりませんでしたので掲載していません)。これらはいずれも今日、パテックフィリップ・ミュージアムに展示されている。



旅先でも正確な時刻を知ることのできるトラベルタイム

パテックフィリップのカラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524モデルは、航空機による大空の征服と、腕時計による世界の制覇を象徴する、きわめて男性的な腕時計である。それはGPSによる航法の普及と共に時代遅れとなった時角時計へのノスタルジックな懐古でなく、今日の航空機による旅行の際、とりわけ有用なデュアル・タイムゾーン機能を搭載した高精度で信頼できる計器なのである。パリとロンドンの時差は1時間であり、ニューヨークと北京の時差は13時間である。数百キロメートル移動して空港に降り立つと、そこ(現地)は出発地(自宅や勤務先)とは異なったタイムゾーンである。東に向かって移動するにしたがい時刻は進み、西に向かって移動するにしたがい時刻は遅れる。80年近くにわたりパテックフィリップのタイムゾーン・ウォッチは、タイムゾーンの問題を他に類を見ないシンプルな方法で解決してきた。1930年代、マニュファクチュールパテックフィリップは、天才的な時計製作者ルイ・コティエの協力の下、最初のワールドタイム機構を開発した。1959年には、今日あまねく知られているトラベルタイム機構の特許を取得した。民間航空の発展によりヨーロッパとアメリカ間を数時間の直行便で旅行できるようになった当時、きわめて容易に2つのタイムゾーンの時刻を表示できるこの機構が大いに歓迎されたことはいうまでもない。


今日に生きる技術革新の伝統

175年をこえる歴史を通じ、伝統と革新の融合はパテックフィリップ哲学の中心をなすものであった。1996年、マニュファクチュールパテックフィリップはデュアル・タイムゾーン機構をさらに完璧なものとし、これに関する第2の技術特許を取得した。この改良は、ケース側面の2個のプッシュボタンのいずれかを押して現地時刻を1時間単位で前進または後退させる際、タイムゾーン表示機構をムーブメントの他の動きから分離する、隔離機構に関するものであった。これにより、タイムゾーンの変更がテンプの振り角や振動の規則性にまったく影響を与えることがなくなり、計時精度が格段に向上した。
自動巻ムーブメント、キャリバー324 S C FUSを搭載した新しいカラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524モデルは、この洗練された機構に加え、センターセコンド、指針による日付表示、21金中央ローターを備えている。精緻に仕上げられたこの伝説的なムーブメントもまた、パテックフィリップの絶え間ない技術革新を体現しているのである。ジャイロマックス・テンプ(Gyromax®)に加え、シリコン・ベースのハイテク素材Silinvar®製のSpiromax®髭ぜんまいが採用されている。Silinvar®の他に類を見ない特性と、常に同心円性を保ちながら伸縮するSpiromax®髭ぜんまいの特許取得の形状により、パテックフィリップ・シールに定められた日差-3~+2秒という計時精度、そして驚異的な信頼性が実現されている。サファイヤクリスタル・バックを通して、受け(ブリッジ)の縁に施された面取り、表面に施されたコート・ド・ジュネーブ装飾、自動巻ローターに施されたサーキュラー・コート・ド・ジュネーブ、センターのペルラージュ、側面の渦巻模様、カラトラバ十字などの精緻な仕上がりを鑑賞することができる。さらに銀色に輝くムーブメントの表面に施されたゴールドのエングレービングと赤い穴石(ルビー)のコントラストは、この世のものとも思われぬほどの美しさである。


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テクニカルでエレガントな外装

294個の部品から構成されるキャリバー324 S C FUSを内に秘めた文字盤は、パイロット・ウォッチに多用されるブラックではなく、1930年代の米軍戦闘機を連想させる、エレガントなニス塗装のブルーである。スーパールミノヴァ夜光付の大型ホワイトゴールド植字アラビア数字とスチール製バトン型時・分針が現地時刻を昼も夜も最高の視認性で表示する。すべてのトラベルタイム・モデル同様、出発地時刻を表示するスケルトン時針は、謹み深く裏方に徹している。異なったタイムゾーンを表示する必要のない時は、スケルトン時針は完全に通常の時針の下に隠れる。3時位置(出発地)と9時位置(現地)の昼夜表示窓が、それぞれのタイムゾーンが現在昼か夜かを表示する。まったく新しい6時位置の日付表示サブダイヤルは、初めて日付を3日おきに数字で示しており、シンプルでしかも読みやすい表示となっている。新しいカラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524モデルのピュアでクラシックな外観は、大型のホワイトゴールド仕様カラトラバ・ケース(ケース径42 mm)によってさらに強調されている。滑らかなベゼルは外側に向かってわずかに傾斜している。またスリムなラグのフォルムがケースと完璧なハーモニーを見せている。リュウズ、および8時位置(前進)と10時位置(後退)の2個の現地時刻調整プッシュボタンには刻みが入り、精密計器にふさわしい操作性とテクニカルなタッチを誇っている。またプッシュボタンは特許登録のセキュリティー・システムを備えており、誤って現地時刻を変更してしまう危険がない。操作の前に、まずプッシュボタンを1/4回転させてロックを解除する(刻みが入っているため操作は容易である)。操作が終わったら再び1/4回転させてロックする。安全を第一に考えた設計は、このタイムピースのスタイルと完璧にマッチしている。ヴィンテージ・ブラウンに明色のステッチでコントラストを持たせたカーフスキン・バンドは、クラシックな飛行服の革ベルトを思わせる。ホワイトゴールドのネジ止めピンバックルも同じテーマを追求しており、パラシュートとサバイバルキットを飛行服に安全に固定するハーネスからインスピレーションを得ている。
新しいカラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524モデルにより、パテックフィリップは、クラシックなカラトラバ・コレクションに、パイロット・ウォッチの伝統を受け継ぐ、きわめて男性的なラージ・サイズのモデルを加えた。
しかし同時にブルーの文字盤、ホワイトゴールドのケース、デュアル・タイムゾーンの時刻表示などの重要なディテールが、このタイムピースを独自性溢れるものにしている。純粋にテクニカルな要素とコンテンポラリーなエレガンスのいずれにも妥協することなく、この両者を完璧なハーモニーの下に融合することにパテックフィリップは成功したのである。
(※引用終了)


論旨をまとめると、この一見唐突に見えるパイロット・ウォッチも、実はパテック・フィリップの伝統の中に厳然と存在するジャンルであり、むしろ当時の最先端の飛行計器であるサイデロメーターを搭載するなどの技術革新の粋を極めたのモデルへのオマージュであるということです。
ちなみに、下の画像、上の二つがパテック・フィリップミュージアムに所蔵のパイロットウォッチ。それぞれのセンターにある360度計器がサイデロメーターです。

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この作品は、機械式時計の伝統と革新の上で同じDNAを持つアビエイター(パイロット)・ウォッチへ、2015年のパテック・フィリップが出した回答であることが強調されています。
さらに付け加えるならば、上記の博物館所蔵とほぼ同タイプのサイデロメーター搭載のアビエイター・ウォッチ(1936年製)は、2009年5月、オークションハウス、クリスティーズで$1,701,690(約2900万)という高額で落札された実績を持っています。

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かつて、腕時計史上最高額の落札として話題を呼んだパテック・フィリップのワールドタイムが、そのデザインのDNAを継承しながら現在のモデルに連なっているような正当性が、このパイロット・ウォッチにも流れているということ、そしてもちろん機械式時計として高い精度と機能を求められた初期パイロット・ウォッチと同様に、この新しい作品にも、現在考うるパテック・フィリップの最高水準の技術によって、2015年ならではの精度ならびに機能を実現しているわけです。








あとは実機の感じや、装着感など、
さらなる情報や感想が届き次第随時投稿していきます。







by A-LS | 2015-03-19 16:10 | パテックフィリップ