ランゲ・ムーンフェイズの小さな秘密~「”Klub Lange#4"より」
本番終了後に参加された皆さんからお話を伺ったところ、一番好評だったネタを発表します。
スモールセコンド内にムーンフェイズ表示を持つランゲ時計においては、実はある共通点があります。
懐かしい「ランゲ年越し選手権」からランゲマティック・パーペチュアル選手のアップですが、
わかりますか?
中心より下側に「20」「30」「40」という表記がありますが、本来あってもよいはずの上側の表記、つまり「60」とか「10」とか「15」が書かれていないことに気づきます。
なぜでしょう!?
実は上側の目盛りは、ムーンフェイズを読んだり、合わせたりするために使用して欲しいという意図があるのです。
ムーンの場合、「60秒」位置が満月ですから、「45秒」の位置が新月、つまり「0」ということになります。
そして新月から数えて、満月は15日目にやってきますので、「60秒」の位置には「15」という表記をしたいところですが、ここに「15」といれるとスモールセコンドが混乱してしまうため、何も書いていないのです。
従いまして、満月が欠けていき、再び「15秒」位置に消えていく目盛りには、「30」といいますか、本来の月の朔望(満ち欠け)の周期は29日と12時間44分3秒(=29.5305891日)なので、便宜上ここは「29.5」と書き込みたいわけなのです。
「え~、本当!?」と思っている皆さん、では、その証拠をお見せしましょう。
今はもう入手の難しい「カヴァレット・ムーンフェイズ」の文字盤をご覧ください!
クリックしてみてください、拡大されますので。
内側と外側、黒と青と色を変え、月齢と秒針が混在しております。
そして15秒位置にあるのは確かに「29 1/2」という表記!!
そこでみなさんに質問です。
ランゲ1ファミリーの中にも、たったひとつスモールセコンド内に「29 1/2」という月齢表記を
持つ機種があるのですが、それは何でしょう?
考えてます?
あまり考えずに、
スクロールして答えを見ちゃおうとしちゃってません?
ランゲ1で「月」といえば・・・・
「しつこいぞ」、という声が聞こえてきそうなので、
そろそろ回答・・・
ジャァ~ン
答えは「LUNA MUNDI」!
意外と気が付かないんですよね。
セコンドと月齢の表示レールを二重にして、見事に併記した素敵なデザインです。
わたしも今回のこの「ムーンフェイズ」企画で、夏休みの宿題的に詰め込み勉強して、初めて知ったことでした。
でも、伝統を重んじるランゲ&ゾーネです。
この前例を求める検証もしてみました。
凄い機械ですが、あのモンスター懐中、No.42500に準じる複雑機構を持ったランゲ懐中の名作です。No.49985。
まずは日の裏から、ムーンディスクをご覧ください。ほれぼれする機械です。
そしてその文字盤ごこちら!(↓)
確かに「29 1/2」という表記が!!!
カヴァレットムーンフェイズの文字盤上の表記が過去の懐中時計をモチーフにしたものか、それともオリジナルデザインがたまたまた一致したのかは、現時点では未確認ですが、はからずも一致したにしろ、偶然にせよ、これこそがランゲの歴史の力でしょうか。さすがです。。。
懐中時計の時代ですと、ケースにこうした天文時計風のエングレーヴを施したランゲ懐中など、とても面白い実例がいくつか見つけれらますので、興味がおありの方はいろいろと調べてみてはいかがでしょうか?