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a-ls 時計(Mechanical Watch Users News) blog.

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ランゲ探偵局事件簿“PT-プラチナ-の怪人” #1

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新春スペシャル
“PT-プラチナ-の怪人” 

#第一夜




前回のランゲ探偵局事件簿では、ランゲ復興初期のメタルケースバック(ケース番号11万番台)を持った“ダース”の真贋にまつわる謎を解明したのですが、無事解決をみたその際に、ふと感じたことがありました。

それは、「このルールを我が探偵局員に当てはめていくとどうだろう?」という疑問でした。

我が探偵局に所属するランゲ1に関しては、入局にあたって基本的なペーパー類を入念にチェックしてきた自負がありましたが、その自負に、ふとした違和感を覚える個体があることに想い至ったのです。

ムーブメントNo.6542。ケース番号147837。

時計本人の名誉と将来のため(笑)“顔写真”の掲載は控えますが、本来WGケースしか存在しないはずのダイヤルがPTケースに収められているというのが、この個体の特殊ポイントで、バイヤーのC.C.氏の仲介でした。
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このダイヤルはとても好きで、すでにWGを所有しておりましたが、珍しいPTケースの個体ということで非常に迷いました・・・。
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バックケースには確かにプラチナ950の刻印(ホールマーク)がみてとれます。


入局許可を逡巡した点、それは付属の保証書がブランク(店印はシンシア)であったことでした。ランゲのブランク・ペーパーに関してはいずれ日を改めてまとめる必要があると思っておりますが、最終的に入局を決断した決めてとなったのはC.C.氏が出してきたもうひとつの書類の存在でした。
それがランゲ&ゾーネの日本における唯一の正規サービサーであるリシュモン・サービスの修理証明書、オーバーホール済みを表わす書類だったのです。
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C.C.氏いわく、
「この書類の『プロダクト』欄を見てください、ちゃんと『ランゲ1××××PT(×印は伏字とします)』と書いてあります。つまり日本のリシュモン・サービスが、この個体を正式に認めて、本物と証明しているからこそオーバーホール修理したわけですから、どうかご安心ください」、と・・・。
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という経緯で、このランゲ1が我が局員となって5年あまり、今では古参の機種のひとつとして当ブログにも何度か登場しておりました。

しかし前回の事件簿から、初期ランゲのケース番号とムーブメント番号をチェックしていた際に、ふと違和感を覚えたのです・・・。

まずムーブメントナンバーですが、4桁であるということはほぼ95年~97年の生産で、このランゲ1のWGケースが作成された時期と矛盾はありません。しかし、もし97年までのムーブメントであれば、ケースナンバーの14万番台というのが、やや後年にすぎないか???・・・というのが、ふと感じた疑念でした。

もちろん、ある時期からランゲのムーブメントNo.は時間軸に沿った番号制から離れて、シリーズごとというルールで、かなり自由に前後しますので、これが特注品であるという前提で考えるならば、特別なルールに従ったという可能性も充分に考えられます。

しかしさらにもうひとつ、以前から気になっていた点がありました。それはこのランゲ1のブリッジに、細かなスレ傷が複数本見られるということでした。
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赤で囲ったところが一見キズや指紋跡のようにも見えますが、その部分ではなく、青で囲った個所に残る細かな複数のスレ跡が問題の部分です。


これはリシュモンサービスの修理証明書にも触れられており(リシュモンのサービサーはドイツ本社に送ることを推奨しておりました)、気にはなっていたのですが、オーバーホール直後で精度的には完璧だったこと、それにブリッジが交換修理になった場合のコストの恐ろしさ(笑)もあって、つい目をつぶっていたのです。

ブリッジにキズがあるという事実が示す最大の問題点は、過去にこのケースがランゲおよびそのサービサー以外の第三者によって開けられたという可能性です。
その点に関して、ダイヤルが換わっていたという“ダース”事件のカラクリは、妙に心に引っかかったわけです。

そしてついに決断しました!
昨年の夏、この個体をグラスヒュッテに送ることにしたのです。
ひとつには、ブリッジを交換することになったら、「一体ナンボかかんのやッ!?」という焼けクソの好奇心もありましたが(笑)、この個体が特注品だった場合に、14万番台というケース番号に、特注品ならではのなんらかの規則性が見つかるかもしれないという興味もあったからです。

しかし、その数日後、
グラスヒュッテから届けられたのは衝撃の知らせでした。

それは・・・・










「(或る理由によって)ケースNo.147837はその身柄をグラスヒュッテ本社にて拘束、この状態のまま日本に送り返すことも不可なり!


という通告でした!!

げ、げ、一体何がっ!?


この続きは#2にて!!!




to be continued.....
by a-ls | 2013-01-03 11:02 | Lange 1