夏の夜のランゲミステリー・最終夜「らぐはば」
当怪談シリーズも、いよいよ「最終夜」となります。
今夜は、ある“数字”にこだわってみたいと思います。
数にまつわる怪談といえば、“一枚、二枚・・・”でお馴染みの「番町皿屋敷」や、川にかかる七つ橋の数を日暮れ時に数えていくとひとつ多かったり少なかったりする話とか、有名なところでは足立区に実在した「お化け煙突」の話なども、その仲間と言えるでしょう。
さて、ランゲにまつわる数字として、
14、18、19、20、22と言ったらなんでしょう・・・?
即答できたあなたは素晴らしいです!
そう、「ランゲ純正ストラップの幅」、言い換えれば「ラグ幅」です。
「らぐはば」
ひらがなで書くとなんか妖怪の名前っぽいでしょ。。。。「すなかけばば」みたいで(笑)
冗談はさておき、
今夜のミステリーはここからなんです。
数年前までランゲのストラップといえば、19mmと20mmの2種が主体だった記憶があります。
確かに昨年までは、旧サクソニアの19mm、リトルサクソニアの18mmなども存在したのですが、
径の大型化が進む今日の状況を反映するかのように、とうとうランゲも2012年のカタログからは、19mm以下のラグ幅を持つモデルが完全に姿を消しております。
径が大きくなれば、それに比例してラグ幅も広くなるのはモノの道理ということで、
「ラグ幅」は20mmと22mmの2種類にだけなっているはず・・・と、資料を追っていくと、
20と22の繰り返しが続くモデルの中に、一種類だけ、目の錯覚なのか印刷ミスなのか、
21mmという不思議なラグ幅が発見されるのです・・・・。
ちょっとゾッとしませんか・・・・・
径37mmのサクソニアから、径45.9のランゲ31まで、20mmと22mmでやりくり出来ていたラグ幅に、まるで「おばけ煙突」の怪談のように、存在する必然性のないラグ幅21mmがあるのです。
その機種とは・・・・
ツァイトベルク・ストライキングタイム(径44.2mm)!!
22mmのラグ幅を持つモデルには、
新型のグランドランゲ1やタイムゾーン(径41.9)
ダブルスプリット(径43.2)
ランゲ31(径45.9)など多数あります。
しかしストライキングタイムの径は、タイムゾーンやダブルスプリットよりも大きい44.2mmにもかかわらず、なぜかラグ幅はそれらより小さく、しかも過去に設定のない21mmという特殊な設計となっているか・・・・これはミステリーといえる謎なのではないでしょうか???
ぜひみなさんもその理由を考えてみてください・・・・。
ヒントは、ノーマルなツァイトベルクの径。それは41.9mmで、タイムゾーン、グランドランゲ1などとまったく同じなのにもかかわらず、ラグ幅は20mmでした・・・ さて、なぁ~んでだ???
もうおわかりでしょう、
その答えはツァイトベルク・シリーズの特別なリューズ位置に関係しています。
以下、ランゲ・ブティックに協力をお願いし、ドイツ本社に問い合わせていただいた“謎解き”の結果です。
『それは明らかにデザイン上の理由なのですが、もうひとつの理由として、ツァイトベルクは2時の位置にリューズを持つため、それを引いたり巻いたりするには、ラグとリューズの間になるべく多くのスペースがあったほうが、操作性が高まるということがあります。
たとえ1mmであっても、そのスペースの存在によって、リューズのつまみやすさが格段に向上してくるのです。我々は、リューズとラグとの間に少しでも多くのスペースを確保するため、ラグ幅を最小化しなければなりませんでした。』
つまりランゲ技術陣の操作性追求へのこだわりの結果として、過去には存在しなかった21mmという不思議な「らぐはば」が、この世に誕生したのでした。。。。 ま、確かに、外人さんは手もデカくて指も太いもんね~~
そして幸いなことに、現在このストライキングタイムWGの実品がランゲの銀座ブティックにありますので、
みなさんぜひご自分の眼で、この“特別設計”をご確認ください。。。。。
その際はぜひとも展示ケースから出してもらって、ベートーベンの「運命」と同じ音といわれる4音(15分おきの3音+12時の1音)も、ご自分の耳でご試聴してみてください。。。。。