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ダトグラフUP&DOWN によせて

昨日の新作ダトグラフの紹介に際しては、ランゲのオフィシャル写真を、
また、それ以前のヒント記事に関しましては、Time Zoneに投稿にされたピーター・チョン氏撮影の写真を使わせていただいておりましたが、この度、ピーター・チョン氏のご厚意によりまして、氏が撮影しご本人のブログに掲載された写真の使用許可をいただきました。

このエキサイト・ブログには500KB以上の写真を掲載することはできませんが、
チョン氏のブログでは、非常に大きなデータで掲載されておりますので、
氏の渾身のマクロ撮影によるこの時計のディティール美を、是非一度ご覧になってください。
チョン氏ブログのURLです。
http://peter-chong.blogspot.com/2011/12/sihh-2012-novelty-lange-new-datograph.html
なお、チョン氏の写真の転載を希望される方は、必ず、メール等でチョン氏からの許可を受けてください

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アングルを変えてみましたが、究極に美しい「作品」であることは間違いありません。
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しかし昨日の発表以降、TimeZoneやPuristなどの時計好きのフォーラムでは賛否の投稿が相次ぎ、
新旧ダトグラフはひとつの論争となっております。

これほど美しい時計に対し、賛否が分かれるのは何故か。
それはズバリ、初代のダトグラフの完成度があまりに高かったために他なりません。
つまり、このダトグラフU&Dには、その誕生の瞬間から“比較の対象”が存在してしまうという事実、
しかもその対象が、過去12年半にわたってクロノグラフの最高峰に君臨していたという事実が、
この時計がスッと心に入ってこない大きな(そして不幸な)要因なのです。

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通常、新作時計が発表されたとき、多くの人は同じ“素の”スタートラインからその時計を見ることになります。
しかしダトグラフというあまりに大きな存在には、惚れ込んで使ってきた方、購入を目標にしてきた方、
サイズ感へのこだわりで購入を思いとどまっていた方・・・などなど、すでに個々それぞれの中に、その方なりのダトグラフへの想いがあるために、様々な評価が賛否という形で湧き上がってくる、これは当然のことです。

ケースサイズの大小、インデックスの字体、パワーリザーブメーターの有無、デザインの詰まり具合など…初代との差異も、本来であれば、「好き」か「嫌い」かのレベルのことであるはずの差異が、個々にとっても、またブランドとしてのランゲにとっても、ダトグラフの存在があまりにも孤高であったため、「ダトグラフの精神性」やら「ランゲの時計哲学」まで、必要以上に大きなテーマまでエスカレートしてしまうのです。

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疑問なのは、最近のランゲは何故にこうした、オーナーをハッピーにさせない販売方法を取るのでしょうか? 
「限定の復刻は絶対しない」と断言していた前CEOファビアン・クローネの退陣以降、昨年のハニーゴールドによる限定時計の復刻から始まり、今年のリヒャルト・ランゲ・トゥールビヨンのプラチナ限定に対してブティック限定のハニーゴールドを後出しすること、そして来年はこのダトグラフの改定・・・。
数百万、数千万の時計を買ったオーナーに、ブランドがあえて“踏み絵”を踏ませるようなこの販売方法がゲルマン民族の商法なのでしょうか(笑)。
それに較べるとラテンの商法、特にリシャール・ミルなどは羨ましいくらい時計とハッピーを一緒に提供することに心を砕いてくれますし、あのパテックも、オーナーのプライドと資産価値を守ることに高いプライオリティーを設定していると感じます。

話がそれてしまいましたが、要は、この新作「ダトグラフU/D」を非常にポジティヴに肯定しつつも、ランゲにとってエース級である「ダトグラフ」という存在に変更を加えるのであれば、もっと慎重かつ大胆にやるべきであったのではないか、というのがわたしの結論です。

たとえば、大ヒットした映画の続編を想像してください。
例はなんでもよいのですが、たとえば「MIP」と「MIP2」としますと、この2本はプロットと世界観は同じあっても、まったく異なるストーリーを持った映画ですから、2本とも好きな人がいてもいいし、どちらかをダメだという人もいていいし、それは個々の好き好きというレベルで全然成立します。
しかし思うに、今回の「ダトグラフU&D」は、実は「ダトグラフ2」ではなく、映画で言えば「ダトグラフ・ディレクターズ・カット」とか、「ダトグラフ・デジタル・リマスタリング」的なものに思えるのです。作品は同じなのです。
にもかかわらず、ブランドは「ダトグラフ2」的な打ち出しをするために、論ぜられる主体が個々の中では分離できずに(なにせ同一同根なので)、そこにまた、必要以上にこだわりの深い論争が産まれてしまうのではないでしょうか。

こうした点には慎重さが欲しかったし、大胆さという点で言えば、やはり本当の意味での「ダトグラフ2」を作って欲しかった。受け手が期待でドキドキして観られるような“新しい映画”を待っていたかったのです。
つまり、「フライバック機能を持つ最高水準のクロノグラフ」という世界観とプロットは同一ながら、まったく異なるストーリーを持つ「ダトグラフ2」を発表して欲しかったのです。出来ることならば「初代」も「2」も両方所持したくなるような魅力ある続編を作って欲しかった。

慎重さと大胆さ、成長するブランドには必須の素養ですし、事実、復興後のランゲ&ゾーネは、ダトグラフや、ダブルスプリットや、ランゲマティックパーペチュアル、ダトパーペ、タイムゾーンなど、それぞれ明確な方向性を持った新作を、実に大胆な機能という切り口をもって毎年毎年発表してきた時代があり、そしてそれゆえの“今”があるわけです。

その貴重な過去の資産を“焼き直し”という形で消耗しつつ、そんな草創期を支えたオーナーたちを賛否論争に巻き込み、購入後に“踏み絵”を踏ませるような… 今のランゲにそんな感じを受けてしまうのは、たぶん私の気のせいなのだとは思いますが(笑)、SIHHまであと数週間、全世界の時計ファンが驚嘆するような本当の意味での“新作”が、ジュネーヴ・サロンで発表されることを心から期待したいし、実は今も期待しています!!!

長く書きましたが、言いたいことはシンプルで、自分が「好きなもの」を“好き”と言えばイイ。 それだからこその趣味ですから、他人にそれを強制することも説得することも要らなくて、そしてさらに突き詰めるのであれば、結局わたしは今のこの瞬間もランゲ・ファンであります、ということでしょうか(笑)。。。。











ランゲファンのみなさんへ
メリー・クリスマス!!
























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Commented by sakura--saita at 2011-12-22 22:35
こんばんは。
私も同じ思いです。=>「初代」も「2」も両方所持したくなるような魅力ある続編を作って欲しかった。
ただPatekもティアリーに代替わりしたのが要因なのか解りませんが、今頃5004のSSを限定で出してみたり、ケース材質・文字盤色違いとかをバーゼルで多数発表したり、魅力的な時計がなくなっています。


Commented by Q-Chann at 2011-12-23 06:07 x
このサイズ、ムーブメントを考えれば、思い切ってD・スプリットを検討するのもありでしょうか?発表当時は、絶対在り得ない大きさでしたが。
Commented by A-LS at 2011-12-23 09:52
sakura--saitaさん おはようございます。
時計としては全然アリなんですけれど…ね(笑)。もしかしたら今のランゲやパテックって、意外と、販売担当部署に時計好きが少ないのが問題の根本なのでは…とか、思っちゃったりしている今日この頃です(笑)
Commented by A-LS at 2011-12-23 11:04
Q-Channさん どうもです。
D・スプリットのムーブメントはダトとはまた別モノで、個人的にはランゲの最高峰(DS>ダト)だと思っています。DSの43.2mm径&15.3mm厚の壁は、物凄くぶ厚く高いですが(笑)、もしこのサイズ感がクリアできるのなら絶対にお勧めです!
しかし日本人標準以下のわたしの腕周りには、39mm→41mmは許容できても、同じ2mm差の41mm→43mmは許容できなかったりするのが実情です…(涙)
Commented by a-ls at 2012-10-20 08:28
ダト新作、最近ようやく目になじんできました。
Commented by a-ls at 2012-10-20 11:46
けっこうイイですよね(笑)
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by A-LS | 2011-12-22 00:08 | ランゲ&ゾーネ | Trackback | Comments(6)