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a-ls 時計(Mechanical Watch Users News) blog.

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A.ランゲ&ゾーネ、銀座ブティックにてツァイトヴェルク・ミニッツリピーターを見る!

久々にツァイトヴェルク・ミニッツリピーターの実機を見る。





A.ランゲ&ゾーネ最初にして唯一ミニッツ・リピーター。

2015年の発表時、たいへんに興奮して分析していたことを懐かしく思い出し、ちょっと昔のブログを引用。

『復興から20年もの間ランゲがただの一度もリピーターにトライしなかったということは、普通に考えてもあり得ないことでしょう。
風聞では、過去にいくつかのリピーター・プロダクトが陽の目を浴びることなく葬られた(そのうちのひとつは発表寸前の段階にあった!)らしいこと、そしてその理由は、主にそれらが「ランゲらしいリピーターではない」という判断からだったなどと言われています。
では、ここで言う“ランゲらしさ”とは何でしょう。

いわゆるミニッツ・リピーターは、1783年のブレゲの発明以来、その原理という点ではさほど進化はしていません。
発表の瞬間からインパクトを放ったランゲ1やダトグラフのように、確かな革新性を伴った高性能時計を世に問うという姿勢でその歴史を歩み始めたランゲ&ゾーネが、250年近くも前の使い古された原理に基づくリピーターを、ただ単に出すだけであるならば、それは「ランゲらしくない」という判断があったのだと思われます。

そこでまずランゲが選択したのは、歴史的なリピーターを進化させること、すなわちリピーターという機械が抱え続けてきた”弱点”を改善するという発想だったと想像するのです。つまりそうしたアプローチによって製作された時計であれば、そのリピーターはおのずと革新的で「ランゲらしいリピーター」となるに違いないからです。

それがまず、以下に挙げる3点の克服と革新だったのではないでしょうか。

すなわち・・・

①「防水性の確保」。
スライダーで巻き上げる形が多いリピーター動力は、スライダーという構造上、ケースサイドに空間が生じ、生活防水すら困難ですが、まずそれを10時位置のプッシャー式にして(思えばこれは「グランドコンプリケーション」でも実験ズミでしたが)、4M防水を実現しました。


②「デシマル・リピーター」。
360度の円形文字盤を4分割した15分単位でゴングを組み合わせて10分の位を告げる、今となってはややわかりにくいという弱点でもあった伝統的なリピーターの時打ちに対し、デジタル表示されている時間を、時・10分の位・1分の位の順にゴングを打つデシマル方式を採用したことで、誰もが簡単に、感覚的に時間がわかるリピータとなっています。

開発部トップのトニー・デ・ハースは言います。
「文字盤も針もないツァイトヴェルクのリピーターを考えた時、デシマルはごく自然な発想だった」。

工房主任ティノ・ボーベも
「どこにもないリピーターという観点からデシマル・リピーターに着目し、結果としてそれを搭載するのはツァイトヴェルクが最適だった」

と、ランゲの“開発2トップ”は出発と着地を入れ換えて語ってくれましたが、昔からランゲには“偶然から生まれた美しい必然”を理想的なストーリーとする傾向がありますので、ここは両人の両説を「はいはい」と受け入れておきましょう(笑)。

③「リピーター起動時にリューズ操作が規制される」。
想像してみてください。リピーターが鳴っている最中に、リューズを引き上げて時分針を動かしたり、起動用プッシャーをもう一度押すとどうなるかを(笑)。作動したリピーターはギアの位置から”時分”を読み取ってハンマーを打ちますが、その最中に基盤となっていた”時分”を動かしてしまうわけですから、普通であれば重篤な故障が引き起こされ、かなりの確率で時計は本国送りです(笑)。
このような恐ろしいプレイによって、”どういうことが起こるか”を現行のリピーターで試した方はほぼいないとは思いますが、実はこういう箇所も、古来からリピーターの弱点ではありました。
しかしこのランゲのリピーターは、それが作動すると同時にリューズと主動力の輪列を強制的に切り離すことで、この問題を解決しているのです。

当然ですが、リューズが引かれた状態では逆にリピーターのプッシャーがロックされ、操作不能となります。

もちろん、上に挙げた①~③を個々に見れば、ランゲ以前にもいくつかの先例はあります。しがし、2世紀にもわたって引き継がれたリピーターの大きな弱点を一気に3つとも改善した時計は過去にも例がありません。その点からも、「ランゲらしいアプローチを持つ、比類のないリピーター」という、かなりハードなアウトラインからスタートした時計の着地点が、このツァイトヴェルク・ミニッツ・リピーターだったと思えるのです。

実はこの時計の開発段階で、ランゲは6つもの特許を取得しています。
そのうちの3つが上記の②~③に関連するもので、すなわち、「リピーター作動中に輪列を切り離す仕組み」と「その際に作動するギアとラチェット(空回りする)・ホイール」で計ふたつ(註:ドイツ語と英語のやりとりだったため具体的な詳細は異なる可能性もあるかもしれません)。さらに「デシマル・リピーターに関連するもの」でひとつです。
そして、残る3つの特許を吟味していくと、このリピーターの特性は、より一層際立ってくるのです。』

と、まだまだ延々と続きますので、興味のある方は、こちらを参照してほしい。

(前編): https://alszanmai.exblog.jp/24181390/

(中編): https://alszanmai.exblog.jp/24200954/

(サウンド編) https://alszanmai.exblog.jp/24207238/



抽象絵画のような背面は依然美しい。。。。

現在、銀座のランゲブティックに入荷中ですので、実物を目の当たりにされたい方は是非お出かけくだされ!

こちらもブティック入荷中のリトルランゲ1ブティック・リミテッドとのツーショットを。







そして、2018年度版のカタログ、コレクション2018も出来上がってました!!


では最後に12時59分のサウンドを!



追伸:近々に、A.ランゲ&ゾーネからなんらかの発表があるかもしれません!
気になる方は、この1週間くらいWATCH MEDIA ONLINEをこまめにチェックしてください!!



A.ランゲ&ゾーネ銀座
住所:東京都中央区銀座6-7-15 
第二岩月ビル1F
03-3573-7788
定休日:毎週水曜日






by A-LS | 2018-07-06 23:27 | ランゲ&ゾーネ