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パテック フィリップが2020年新作として、3つのグランド・コンプリケーションを発表

パテック フィリップが2020年新作として、3つのグランド・コンプリケーションを発表


やはりというか、やっとというか、世界のウォッチ・インダストリーをある意味で牽引するパテック フィリップが2020年新作を発表した。

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3~4月頃の一部報道では、『パテック フィリップは2020年の新作を発表をしない』などと報じられたこともあったが、先日の新工場(PP6)の落成記念の限定モデルに続き、今回はレギュラーモデル(限定ではない)から、3モデルの新作を発表した。3種ともに同社の最上位カテゴリーであるグランド・コンプリケーションからのセレクトで、既発表作品のバリエーション・モデルである。


まず、「ミニット・リピーター・トゥールビヨン 5303R」

Ref.5303R

時打ち機構のミニッツ・リピーターと精度機構のトゥールビヨンを搭載し、文字盤をスケルトナイズさせたオープン構造だが、その際にミニッツ・リピーターのハンマーとゴングを表に組み込み、可視化したところが新機軸。

昨年シンガポールで開催された「グランド・エグジビション2019」で発表した限定モデルが初出である。


●『グランド・エグジビション・シンガポール 2019』で展示されたオリジナルモデルの5303R。上は実機画像。


そこでは差し色的にデザインされ、秒針などにも採用されていたシンガポールのイメージカラーの赤や、ミニッツレール上の★のアイコンを、王道のデザインで解釈し直した作品となっている。

しかし、さらに元をたどれば、このモデルは、すでにディスコンとなっている5104P(ミニッツ・リピーターと永久カレンダーを組み合わせスケルトナイズしたモデル)の系譜にあり、フェイスをできる限り隠さずにおくためにデザインされた針の形状など、5104が短命で終わったような、好き嫌いに差が出るデザインかもしれない。



しかし、間違いなく言えることは、その仕上げの素晴らしさだ。
美しさ、デザイン性ともに完成度は圧倒的だ!








42 mm径。12.13 mm厚。
キャリバーはR TO 27 PS(手巻き)。パワーリザーブ: 最小40時間、最大48時間。 テンプ: ジャイロマックス。 毎時振動数: 21 600 (3 Hz)。 価格はプライス・オン・リクエスト。




続いて、「スプリット秒針 クロノグラフ 5370P」

Ref.5370P


2015年に発表されたグラン・フー エナメル黒文字盤のモデルが初出。
その当時、エナメルの中でも最も高度で難しく、時計のダイヤルとしてはなかなか採用しづらかったグラン・フーの黒エナメルを、見た目にまったく一点の濁りもムラもない完成度で発表したことが、たいへんな驚きをもって紹介されたことを今でも鮮明に思い出すモデル。
まさにエナメル文字盤の歴史を変えた1本だ。

●話題となったグラン・フー 黒エナメル文字盤のモデル


残念ながら、グラン・フー エナメルの黒文字盤モデルは今年ディスコンとなってしまったが、その後を引き継ぐ形で、このグラン・フー エナメルによるブルー文字盤のモデルが登場した。
青のグランフー・エナメルにおけるパテック フィリップの完成度・安定度については、もうあえて触れる必要もないだろう。
そしてもちろん、素晴らしいのはクロノグラフ機構の中でもその頂点にあるスプリット・セコンドの手巻きキャリバー CHR 29-535 PSだ。ケース裏のクリスタル越しに覗くことのできるパーツたちの、その複雑な湾曲と組み合わせを見ていると、間違いなく、時を忘れる…。






ケース径:41 mm。 厚さ:13.56 mm。 パワーリザーブ: 最小55時間、最大65時間(クロノグラフ非作動時)。 テンプ: ジャイロマックス。 毎時振動数: 28 800 (4 Hz)。 価格は2866万円(税別)。



そして最後は、「永久カレンダー・クロノグラフ 5270J」

Ref.5270J


Ref.1518をはじめ2499など、パテック フィリップを代表する顔を持つ、永久カレンダー・クロノグラフ 5270からのヴァリエーションである。
2499以降も、3970、5970と、連綿と続いてきたタイムレスなモデル。凹型のベゼルとわずかに広がりを持つラグを組み合わせたケース形状は自然でエレガントであり、美しさだけでなく卓越した視認性も併せ持つ、これぞ究極のパテック フィリップという一本だ。

だが、先代モデルの5970がそうだったように、非常に少数のイエロー・ゴールドの発表を持ってその"有終の美を飾る"という先例もあるので、もしかしたらこの5270もこれが…という予感もある。
気になる方は早めの"挙手"をお薦めする。






ムーブメントはパテック フィリップ完全自社開発製造の手巻きキャリバーCH 29-535 PS Q。永久カレンダー、クロノグラフ。
発表時期からみても、最も成熟した安定性の高いムーブと言える。パワーリザーブは 最小55時間、最大65時間(クロノグラフ非作動時)。 テンプ: ジャイロマックス。 毎時振動数: 28 800 (4 Hz)。
ケース径:41 mm。 厚さ:12.4 mm。3気圧防水。価格は1841万円(税別)。




ここまできたら、カラトラバやアクアノートや、もちろんノーチラスあたりの"2020新作"も期待できたりするかもしれない。
そう考えると、俄然面白くなってきた時計ライフ、パテック フィリップのこの時期の発表に拍手!!!




【問い合わせ】
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
Tel.03-3255-8109

# by A-LS | 2020-07-21 15:07 | パテックフィリップ