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a-ls 時計(Mechanical Watch Users News) blog.

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Why Lange ?


この数日間内に、ランゲ&ゾーネ製作の新しい動画が立て続けにUPされている。


まず先月28日にUPされた動画がコチラ。



タイトルは「ZEITWERK The new era of the mechanical watch」
今ごろのツァイトヴェルクって何ののためのものか、その意図も測りかねて紹介はしなかったが、
続いて、その翌日に、こちらがUPされた。




タイトルは「SAXONIA Mechanical virtuosity 」

なるほど、これでだいたい合点がいった。
おそらくこれらは、各ラインについての説明・紹介をテーマとしたものなのだろう。

案の定、昨日、「RICHARD LANGE The fine observation watch」という動画もUPされている。




これは、夏場のニュース枯れの時期には有難いことなのかもしれないが、10年近くずっとランゲを見つめてきた立場からすると、なんか”切り口”が違うのである。
奇跡の復興から世界的に認められるようになるまでのランゲにとって、作品のライン化などが重要だったことはなかった。
その証拠に、サクソニアも、1815も、一時はカタログから商品自体が消えたこともあったくらいだ。

個としてのその時計が、かつて存在したものと比べ、どれだけ新しく、どれだけ素晴らしいか、また作品としてどれだけ美しいか、それを説明して理解してもらうことがランゲというタイムピースにとっての最高のプロモーションだった。
そのピースそれぞれに宿った特性は、いわゆる”こだわり”だったり、歴史から来る”ストーリー性”だったり、仕上げという”果てしない贅沢”であったり、ともかく時計という存在を通じて作り手・売り手・買い手に共有されたマニアックで甘美な言語と実機とで語られる魅力的な工芸&機械製品であり、われわれはそこに強烈に惹かれたのだ。

最近の感じは、たとえばライン化が当然の車など工業製品や消費物のようだったり、高額であることを価値観の基礎とするファッション・ブランドのようだったり、往年のランゲ&ゾーネにあった厳格さとか頑固さみたいなものが、薄まりつつある気がする。ま、「この道10年!」なんていう人間も少なくなってきているのだろうし、新たな購買層の裾野も広げなきゃいけないのもわかるが、これら動画の再生回数がこの稿を書いてる時点で、それぞれ615回、612回、397回という低さであることをみても、意外と違和感を感じている人は多いのかもしれない。

もちろん、ライン化にも利点はある(重複部品がつかえるなど製作が合理化されるとかね)、でも弊害もある。
フェイスが決まってしまうということは、デザイン性の面白さが半減するし、フェイスを優先とすることがムーブの機能や拡張性を損ねてしまうこともある。
そのせいでわたしは、いまだにリヒャルトランゲ・ジャンピング・セコンドのベストな形態は、決してザイフェルト・フェイスではなかったと感じている。

復興から5年間、決して妥協することなく、あーでもない、こーでもないと、ザクセン時計の理想のデザインを追求し続けたからこそ、
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惜しみなく使ったその5年という時間があったからこそ、
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そこから生まれたランゲ1は20年を経ても、いまだ愛され、時計ファンを惹きつけてやまないのである。




例えばこれから先の20年、さらに新たな時計ファンを魅了し続けるような作品を生み出すためは、今一度、非常に根源的な下の画像の問いを、ぜひ自らに投げかけて欲しいと、切に願う真夏の炎天下であった。

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あ、批判しているわけではないからね。期待しているってことですからね、ランゲさ~ん。
























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by A-LS | 2016-08-04 15:01 | ランゲ&ゾーネ