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Nomosのハイエンド・ライン

当ブログでは時折、“我が陣営”という表現を使わせていただいております。
それはもちろん、狭義ではわれらが「ランゲ&ゾーネ」を指しているのですが、自分の中でのこの言葉は、広い意味で“グラスヒュッテに本拠を持つザクセン・ブランド全般”をも指しておりまして、さらに、最も広義におきましては、“ドイツ時計全体”を指すこともあるのです(笑)。

今回は、その広いほうの“我が陣営(=ザクセン・ブランド)”のお話。
ランゲ、GOに次ぐ、グラスヒュッテ第3位の位置にあるブランド、Nomosに、先頃とても大きなエポックがありました。

Nomosといえば、現代ドイツが生んだ偉大なデザイン成果であるバウハウスを根源とするミニマルスティックかつシンプルな意匠と、汎用ムーヴを部品単位で加工するなど時計精度にこだわりつつも、ステンレスケースを基調とするリーズナブルな価格体系でファンも多いブランドですが、そのNomosが、ついにハイエンド・ラインの製作開始を発表したという、これは一大事件なのです!

SSケース&汎用ムーヴというNomosの二大特徴を完全に覆し、

18Kのゴールドケースと自社ムーヴを採用した、新たな2つのライン、

“Lambda” と“Lux”の誕生です!!

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ラウンド・デザインのLambda(写真右)にはDUW1001、トノー・デザインのLux(写真左)にはDUW2002という、自社開発の手巻きムーヴメントを採用。しかも6姿勢での調整という、クロノメーター水準にも等しい規準をクリアしています。


また2006年ごろからはドイツの高名なジュエラーWEMPEにオリジナルゲージを持つフライングトゥールビヨンや、ツインバレルを搭載したコンプリケーション・ムーブメントを提供するなど、マニファクチュールとしての実績と準備は着々と進んでいたといえます。

DUW1001と2002はともに23石、21,600振動で、2つのバレルを持ち、84時間という超ロング・リザーヴを可能にしました。そしてシースルーバックからは、“グラスヒュッテ製”という誇りと情熱に富んだ美しい機械を見ることができます。

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ちなみにDUWというキャリバーの略号は “Deutsche UhrenWerke(=ドイツ時計作品)”の頭文字のようで、この名称自体は“Deutsche Uhrenwerke NOMOS Glashütte”として、ムーヴメント裏にも刻まれており、こうしたネーミングにもNomosの高い志がうかがえます。

続いて、個々の時計をみていきます。まずはラウンド型のLambda!
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LambdaにはRGとWGの2モデルがあり、最終的に針は青針ではなくなった模様ですが、
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緩やかなカーヴを持つサファイアクリスタル・ガラスを通して見える明るい色のダイヤルは、グラニューレイション(粒状効果)による銀加工を採用しています。
思いっ切り長径のパワーリザーヴ計が印象的ですが、これもバウハウスのシンプルなデザインと見事に調和しています。
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過去にも、「オリオン」など、極々限られたモデルで18Kケースを採用したことはありましたが、Nomosが18Kケースを作るというのは、我がランゲがSSケースのラインを作るみたいな(笑)、驚天動地の世界なわけです。
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42mmケースながら厚みは8.9mmという薄型なので、それほど大きさを感じさせません。
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一方のLux(これは英語の“luxury”からではなく、ラテン語の “light”からインスパイアされたワードだそうです)。
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こちらは40.5mm x 36mm、8.95 mm厚。WGケースのみですが、2種のダイヤル違いのモデルがあります。

キャリバーの基本性能も裏面の美しさもLambdaとほぼ同じですが、スワンネックや、エングレーヴされたテンプ受け。手作業によって面取り&ポリッシュされ、ロディウム・メッキされた3/4プレートにはサンビーム仕上げが施され、青焼きビスと金のシャトンと大きなルビーといった(ランゲやGOファンにもお馴染みの)、グラスヒュッテ様式固有の美しく伝統的な特徴をうかがうことができます。
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価格はまだドル建の情報のみしか得ていませんが、
LambdaのRGが$17,800、WGが$18,800。
Luxはどちらのダイヤルカラーでも$20,500だそうです。


このハイエンド・ラインのプロジェクトには3年の準備を要したそうで、ついに自社ムーヴの開発に成功し、完全にイン・ハウス・ブランドの仲間入りを果たしたNomosですが、高性能でありながら低価格のノモスを愛してきたファンに、今回の新ラインはどう映るのでしょうか。
ま、18Kケースで2万ドル前後って、同じような価格でチタンを出しているブランドとかと比べたら、決してそんなに無茶な価格ではないですよね(笑)。


いずれにしろ、グラスヒュッテのみらずドイツ時計界にも独自の地位を確立してきたNomosが、新たなステップに踏み出したこと、そしてまた“我が陣営”内に、新たな期待と愉しみが増えたことは間違いありませんね!!
by a-ls | 2013-11-03 22:18 | 時計いろいろ