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a-ls 時計(Mechanical Watch Users News) blog.

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IWCのマイスター

IWCといえば、ジャガールクルトと並んで、われらがランゲ&ゾーネの“親戚・兄弟”のようなブランドです。
現在もその3社はともにリシュモン・グループに属しておりますが、一般的には、「ハイエンドのランゲ&ゾーネ」、「グランメゾンのジャガールクルト」に比べて、IWCはミッドレンジの時計、ま、“クロノ好きの巨人の時計がお得意なブランドでしょ”ってなイメージが定着しているかもしれません(笑)。

ところが、このIWCがなかなかに凄いところは、ランゲよりも数年早く「グランド・コンプリケーション」を発表しており、そこにはパーペチュアル・カレンダーとクロノグラフはもとより、当然のことながらミニッツ・リピーターも搭載されていたりするのです。
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そしてまた、「ポルトギーゼ・シデラーレ・スカフージア」という作品に至っては、通常の太陽時に加え恒星時(って何??)も表示するほか、コンスタントフォース(定力装置)付きトゥールビヨン(特許取得ズミ)、その裏蓋には年間の黄道、天の赤道、そして地球上の特定の位置から見える数百の星々を携えた夜空を表示。
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さらには、今日が1年の何日目であるか(絶対日)を表示するパーペチュアル・カレンダーと、日の出と日の入り時間も表示する、超が2~3個ついてしまいそうなウルトラ複雑時計なのです!!

これらの時計は、IWCの特殊機構部門というセクションから産み出されてくるのですが、実はこのセクションの責任者が、ランゲ&ゾーネの元CEOハルトムート・クノーテによってランゲの時計師としてスカウトされ、研修のためIWCに出向していた若き時計師だったという事実はあまり知られておりません。

というか、結局IWCが彼を返してくれなかったという形なのでしょうか(笑)・・・、
しかし今にして思えば、“なんでこんな有能なウォッチメイカーを手放しちゃったんだぁぁぁ~、クノーテさんよぉぉぉぉ~!”って感じです。


その方がこちら、ハンスイェルク・キトラス氏です。
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彼は時計職人になるために生まれたような人です。彼は東ドイツで幼少期を過ごし、その頃から時計製造に対する情熱を燃やしていました。青年期にはザクセンのとある時計職人に師事し、学校に通う週と働く週を交互に繰り返しながら、公立の学校に通っていました。1994年、学校生活最後の日、彼の先生が黒板に”ランゲが情熱ある若者を募集中”と書きました。

当時、ランゲ&ゾーネの見習い職人が最初に研修を受ける場所、それがIWCでした。若かりし頃のハンスイェルク・キトラスは、スイスに1年間居住するのを望まなかったため、ドレスデンにある別の会社で働きました。しかし1995年、再びランゲから招待を受けたのです。シャフハウゼンで彼を面接したのは、IWCシャフハウゼンの時計製造部部長のロナルド・イェーガーでした。試験はとてもシンプルなもので、比較的基礎的なキャリバー30110自動巻きムーブメントを分解し、再び組み立てるというものでした。

その後のことは、IWCの歴史にあるとおりです。キトラスはIWCで働き始めた後直ぐに、パーペチュアル・カレンダー部門に配属されました。ロナルド・イェーガーは、人の才能を見抜くことに秀でた人物でした。そしてキトラスは、シャフハウゼンにてその素晴らしいキャリアの階段を静かに登っていったのです。今日、彼は特殊機構部門の責任者として複数名の時計職人で組織されるグループを率い、グランド・コンプリケーション、ミニッツ・リピーター、トゥールビヨン、そして比類なき「ポルトギーゼ・シデラーレ・スカフージア」を製造しています。
IWCのHPより」










このような事実はIWCのHPを調べていて見つけたわけですが(それまでまったく知りませんでした!)、
他社のHPを読み込んでいくのも、かなり面白い事実を知ったり、非常によい勉強になりますね。










独逸時計を愛好するひとりとして、キトラス氏のさらなる進化と、
今後もシャフハウゼンの地から素晴らしい時計を生みだされますことを、心よりお祈りしております!!
by a-ls | 2013-03-15 13:04 | 雑記