1A“エングレーブ”懐中、その後
しかし残念ながら、針も、ダイヤルも、ケースもないため、わずか$1200程度で落札されたムーブメントだったのですが、
約半年を経て、思わぬ形で“再会”することになりました!
ん?
あらぁ~、どこの国にも商魂逞しき方はいらっしゃるようで、
それっぽい針と、ラッカープリントのダイヤルを作り、本体を腕時計ケースに収めて、
まさかのオークション“再登場”です(笑)。
すこし錆ついていた香箱も綺麗に。ちょっと粗い磨き跡がうかがえます(笑)。
最初のオークション時についていたアーカイヴもそのまま!
ランゲなどの高名ブランドの懐中時計に関しては、このようなケース改鋳が施され、腕化された個体も“マリアージュ”アイテムというジャンルでちゃんと流通しており、ムーブメントがオリジナルであれば、いわゆる“贋物”としての扱いを受けることはありません。
今回の場合、付属のアーカイヴと較べると、ケースや針が後付けであることは明らかですので、評価は低いですが“マリアージュ”品として扱ってもよいでしょう。
ランゲの場合、こうした“マリアージュ”ピースは、ポーランドやウクライナなど、旧東欧国から出てくる場合が多いのですが、中には、腕化するためにムーヴ内に非常な力ワザを施してしまっている事例などもありますので(笑)、懐中時計に比べるとある程度リスクが高いことが前提で市場流通されているためか、(もちろん貴金属のケースを損失しているという部分も含めてですが)、純然たる懐中時計よりは割安の相場での取引となります。
この“マリアージュ”製作に関しては、ある程度の知識と技術と部品を持った時計師さんであれば、それほど難しい作業ではないのですが、部品の少ない日本でこれをやろうと思うと、大変にやっかいなことになり(苦い経験あり・笑)、非常にリスキーです。
というわけで、この個体、
最終落札額は $6300!!!!!!!
でしたので、出品者は約$5000の粗利を得たわけです。
オークション市場を長期にウォッチングしていますと、時折、こういう面白い事例に出逢います。
これもまた、オークションの楽しみ方のひとつではないでしょうか。
実は本日、個人的に非常に大切なオークションに挑みましたが、
力及ばず敗退してしました・・・・・・。うーーーーーー、かえすがえすも残念です。