Art of Watchmaking
「Art of Watchmaking」と題された、なかなか興味深いイベントが日本橋三越で行われています。
ドイツ本社から招かれたご覧のようにグッドルッキングなウォッチメイカー、ワグナーさんが実演してくれるのは、アンクルのツメ石入れという、一見、地味な作業。
まず、脱進機の模型を使っての説明があります。
アンクルとは、中間部分に見える二股に分かれたアーム状の部品ですね。その先に取り付けられている赤いパーツがツメ石で、通常はルビーが使われます。この部品の形が船の錨「ancre(仏)」に似ていることからアンクルと呼ばれます。
そして、ゼンマイからの動力で動くテンプと連動したこのアンクルが左右に振れることで、ガンギ車の歯を進めていきます。その際に、ツメ石とガンギ車の歯とが接触する時に生まれるのが、機械式時計の象徴ともいえるあの“カチコチカチコチ”という音であり、この部分こそがその音源、いわば時計の心臓部なのです。
アンクルにツメ石が入った瞬間の画像。
画像のワグナーさんの手と較べてわかるように、ツメ石は人の爪よりもはるかに小さい部品ですから、作業の繊細さも想像できるでしょう。しかも、ルビーを入れて終わりではありません。
このツメ石がアンクルから突出する長さでガンギ車と接触する角度が決まります。その角度が規定内でないと精度に問題が出てきますので、ここからが重要・・・・
これはツメ石の角度を測る道具。ランゲ社内で製作されたもので、キャリバーごとに違うそうです。
角度の詳細について、会場では解ったつもりになっていたのですが、思い返すとなんのこっちゃあやふやです…済みませんOrz・・・ここでは第一停止角の和が23度が目安とかなんとか・・・
これも測定機のひとつ(プロジェクター中の画像参照)。
測定は実際にアンクルをキャリバーにセッティングして測ります。
ですから、キャリバーに入れて計測、さらに微調整の必要があればキャリバーから外し・・・、
またセッティングしては計測という作業を、規定値になるまでずっと繰り返します。
この日は時計学校へ通う若い生徒さんなども来場されていましたが、ワグナーさんは「やってみる?」と気軽に声をかけ、彼らにウォッチメイカー・コート(白衣)を貸してツメ石入れを体験させてあげたり、様々な質問に答えてくれたりと、図解などで見ても普段はなかなか理解することが難しい脱進機について多くを学ぶことができました。
その他、会場には、時計の部品を標本箱のような形で見やすく展示したタブローなども各種みられますが、タブローのブログ掲載はNGとのことでしたので、ぜひ会場でご覧下さい。
実演は1日4回、今日(12/10)、明日(12/11)と行われますので、
興味ある方は、この週末ぜひ日本橋三越へ行きましょう!!!