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No.42500 よもやま話 ②

修復チームの責任者、ヤン・スリーヴァさんから聞いた話

No.42500の裏蓋を開けた時は衝撃的だった。
なぜなら、機械のほぼ全面が固形化した油のようなもので覆われていたからだ。
どうやら、長年地下室に置かれていたことでムーヴメント上に腐食が始まったため、何者かがそれを止めようと(所有者の老婦人は否定していますが)、よりによって食用油を注入したことが原因と思われている。

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もっともダメージを受けていたラトラパンテ機構を復元するため、修復チームはまずギアを削る機械をつくり、そして歯車を自作したのだが、そのもっとも複雑な歯車は山が300あるものであった。
非常に長い月日と細心の注意をかけてスリーヴァ氏はそれを作り終えたのだが、いざ確認をすると、ギアの山が1つ足りないことがわかった。それが判明した時、ヤン・スリーヴァ氏の同僚が真っ先にしたことは、仕事場の窓を閉めることだった。なぜなら彼は、スリーヴァ氏が怒りにまかせて時計を窓から投げ捨てるか、スリーヴァ氏自身が身を投げるか、ともかく良くないことが起きると想像したのだ。

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試験の結果、299山でも動作上は問題ないことが判明したが、スリーヴァ氏は一晩寝ずに考え、先人への敬意を表するためにも、やはり300山で作り直すべきだという決意をし、また新たな数か月の作業に入った。
ちなみに、新たに作り直した部品はそのすべての裏面に、作りなおした年号を入れ、どれがオリジナル部品かすぐわかるようになっている。

最初に書いた食用油の効果により、ゼンマイはボロボロで修繕不能な状態だったが、このNo.42500のゼンマイは強力なトルクの力を生み出すため、通常よりも幅広な特別規格のものが用いられており、しかもそれは現在の機械では作ることができない特殊なものだった。スリーヴァ氏は懐中時計マニアの伝手をつかって、ようやくこの特別規格の予備ゼンマイの持ち主を探しだしたのだが、相手も相当なマニアだけに足元をみられ、結局、スリーヴァ氏自らがコレクションしていたかなり貴重な懐中時計ムーヴとトレードせざるを得なかったという。

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気が向いたら、もっと書きま~す

が、今宵はここまでにいたしましょう・・・・
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by a-ls | 2010-11-15 01:32 | ビンテージ | Trackback | Comments(0)